FPとうか|1級FP技能士・社労士試験合格
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。

はじめに|50代の推し活は「心の投資」。でも家計とのバランスが大事

10代・20代のイメージが強い「推し活」ですが、最近は50代以上で推し活を楽しむ人も増えています。とくに50代独身会社員にとって、推しは日々の励みとなる大切な存在です。

一方で、夢中になるあまりお金や時間を使いすぎてしまうと、家計や健康面での不安につながることもあります。そこで本記事では、50代シングル会社員の視点から、推し活のメリットと注意点を、FPとうかとして整理してみます。

読者のお悩み整理|こんな不安はありませんか?

  • 推し活が楽しすぎて、つい課金しすぎてしまう
  • 50代で推し活って痛くないかな?と周りの目が気になる
  • 推しのおかげで元気だけど、「依存していないか」少し不安
  • ライブ遠征やグッズ購入が増えて、家計とのバランスが気になる
  • 老後資金も必要だけど、今の楽しみも手放したくない

このあたりのモヤモヤは、推し活をしている50代の方なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。推し活は悪いものではなく、「どう付き合うか」を整えることで、一生モノの趣味になります。

FPとうかの解説|50代で推し活する人は、実はかなり多い

推し活はもはや一部の人だけのものではありません。ある調査(Oshicoco×CDG、2025年)では、日本の推し活人口は約1,384万人とされ、全体の約6人に1人が「推し」を持っている計算になります。

さらに、40代以上の中高年層の参加率も高く、「4人に1人が推しを持つ」というデータも出ています。50代で推し活をしていることは、決して珍しいことではありません。

背景には以下のような変化があります。

  • 子育てや仕事がひと段落し、自分のために使える時間が増える
  • 将来や健康への不安を感じやすくなり、“心の支え”が欲しくなる
  • 配信サービスやSNSの発達で、推しに触れられる機会が増えた

つまり、50代の推し活は「たまたまハマった」のではなく、ライフステージの変化と世の中の環境変化の両方が重なって、自然な流れとして広がっていると言えます。

図表や例|50代の推しジャンルと、推し活の楽しみ方

別の調査(楽天インサイトなど)では、50代が推している対象として、次のようなジャンルが多いとされています。

順位推しジャンル
1位ミュージシャン・バンド
2位国内アイドル
3位海外アーティスト(韓流など)
4位俳優・声優
5位スポーツ選手・チーム

私の周りでも、高校時代から同じバンドを追い続けている友人や、韓流アイドルのアクリルスタンドを持ち歩いて写真を撮る友人、韓国や台湾でのコンサートに行くなど、「推しと一緒に日常を楽しむ」50代がたくさんいます。

推し活のプラス面|人生にハリと癒やしを与える“心の栄養”

推し活の一番のメリットは、なんと言ってもメンタル面への良い影響です。ある調査では、推し活をしている人の多くが、次のような効果を感じていると回答しています。

  • 「気持ちが前向きになった」
  • 「やるべきことへの活力が湧いた」
  • 「ストレスを感じることが減った」

50代は、仕事・親の介護・自分の健康・老後資金……と、心配事が増えやすい時期です。そんな中で「この日の配信が楽しみ」「次のライブまで頑張ろう」と思える存在は、日々を前向きに生きる力になります。

また、推し活を通じて、同じファン同士がSNSや現地でつながり、「推し友」ができることも少なくありません。独身の50代にとって、気の合う仲間と出会える場が増えることは、大きな安心材料にもなります。

趣味や推し活は、定年後の「孤独の崖」を避けるためにも大切な役割を果たします。孤立リスクについては60の崖と準備③|孤独の崖で解説しています。

推し活の注意点|お金と時間の“かけすぎ”には要注意

一方で、推し活にはマイナス面・リスクもあります。特に注意したいのは、お金・時間・気持ちの3つです。

① お金のかけすぎ

推し活の年間平均支出額は約25万円前後とされており、月に換算すると2万円程度です。50代会社員であれば、この金額自体は必ずしも過剰ではないかもしれません。

ただし、以下のような状態は注意が必要です。

  • クレジットカードの支払いが毎月ギリギリ
  • 貯蓄や老後資金がほとんど増えていない
  • ボーナスの大半を遠征費やグッズに充ててしまう

推し活は楽しい反面、「今が幸せだから、将来のことは後回しにしよう」となりやすい面もあります。老後の生活が不安定になるほど、お金をかけてしまっては本末転倒です。

② 時間の使い方が偏りすぎる

推しの動画視聴・SNSチェック・情報収集に夢中になりすぎて、睡眠時間や運動時間が削られてしまう方もいます。健康面にしわ寄せが来ると、せっかくの推し活も楽しみにくくなってしまいます。

③ 気持ちの依存が強くなりすぎる

「推しが元気なら自分も元気」「推しがつらいと、自分まで何も手につかない」というレベルまで依存してしまうと、日常生活に支障が出ることもあります。

推しは大切な存在ですが、心の健康をすべて預けてしまわないことが大切です。

落とし穴|“現実逃避の推し活”になっていないかチェック

推し活は本来、日常生活をより楽しむためのものですが、「現実から目をそらすための逃げ場」になってしまうケースもあります。

  • 仕事や人間関係のストレスから、推しの世界だけに閉じこもってしまう
  • さみしさや不安を埋めるために、際限なく課金してしまう
  • SNS上での推しへの批判に過剰反応し、感情が大きく揺さぶられる

こうした状態が続くと、推し活そのものがストレスの原因になってしまいます。「推しのおかげで現実も頑張れる」状態をキープできているか、ときどき自分に問いかけてみることが大切です。

FPとうかが勧める、“無理なく賢い推し活”のコツ

ここからは、50代シングル会社員の家計やライフプランを見てきたFPとして、「これだけは意識しておくと安心」というポイントを4つご紹介します。

① 推し費の上限を決める

毎月の家計をざっくりと把握したうえで、「推し活に使っていい金額」の上限を決めておきましょう。たとえば、

  • 月1万円まで
  • ボーナス時だけ遠征費を上乗せ

など、自分なりのルールを決めておくと、罪悪感なく楽しめます。

② 推し専用の“ご褒美貯金”をつくる

毎月3,000円〜5,000円でも、専用口座や封筒で積み立てておくと、いざというときのチケット代・遠征代に充てることができます。「貯めてから使う」仕組みにしておくと、家計への影響も抑えられます。

③ 生活の土台(健康・仕事・お金)をおろそかにしない

推しのために頑張って働くのは素敵ですが、体調を崩してしまっては元も子もありません。定期的な健康診断、睡眠時間の確保、基本的な貯蓄習慣など、「ベースの暮らし」を整えたうえで推し活を楽しみましょう。

④ 推し活以外の楽しみも少しだけ持っておく

推し1本に全てをかけると、活動休止や引退などのときに受けるダメージが大きくなります。散歩や読書、旅行など、小さくても別の楽しみをいくつか持っておくと、心のバランスが保ちやすくなります。

まとめ|推し活は「生きがい」になり得る。でも人生の主人公は自分

推し活は、50代の人生にとって心強い味方です。毎日にハリが出て、仕事や家事を頑張る原動力にもなります。

一方で、お金や時間、心のエネルギーを全て推しに注ぎ込んでしまうと、本来自分が大切にしたい生活や将来の安心が後回しになってしまうこともあります。

食べ物で例えるなら、仕事や健康、お金の管理は「主食・おかず」。推し活は「スパイス」や「スイーツ」に近い存在です。スパイスやスイーツは、適量だからこそ日々の食事を楽しくしてくれます。

推し活はやめる必要はまったくありません。むしろ、これからの長い人生を支えてくれる「心の栄養」として、上手に付き合っていきたいものです。

推しのおかげで今日を頑張れる。
でも、自分の人生の主役はあくまで自分。
その感覚を忘れずに、あなたらしい推し活を続けていきましょう。

この記事を書いた人

FPとうか
1級FP技能士/社会保険労務士試験合格。
国内保険会社・社労士事務所・外資系IT企業の人事部での経験をもとに、
50代シングル会社員の「定年前後のお金・働き方・暮らしの不安」をやさしく整理してお伝えしています。

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