最近では10代・20代に限らず、中高年層でも「推し活」を楽しむ人が増えています。特に独身の50代会社員にとって、推しは日々の励みとなる存在です。
実際、友人たちも、数十年もバンドのファンを継続していたり、最近はまった韓流アイドルのアクリルスタンドを落ち歩いて写真を撮ったりと楽しんでいます。
今回は、その実態とメリット・注意点を、FP視点で整理します。
推し活人口は年々増加中──1,300万人超の巨大市場に
2025年に実施されたOshicocoとCDGの調査によると、日本における推し活人口は約1,384万人(全体の16.7%)に達しました。前年より約250万人増えており、右肩上がりのトレンドが続いています。
中でも40代以上の中高年層の推し活参加率は高く、「4人に1人が推しを持っている」とのデータもあります。
50代の推しジャンルは?──ミュージシャン・バンドが人気
2023年の楽天インサイトの調査では、50代が推している対象として最も多いのは「ミュージシャン・バンド」、次いで「国内アイドル」となっています。
若者文化の印象が強い推し活ですが、数十年と活躍し続けるアーティストのファンを続けていたり、再結成ライブなどをきっかけに、中高年層の間でも支持を集めています。
友人たちの様子を見ていても納得です。高校時代からアイドルのコンサートに行き続けたり、遠方まで遠征し、そこで買ったグッズを持っていたりしています。
推し活のプラス面──人生にハリと癒やしを与える存在
推し活はなんといってもメンタル面にプラスの効果ありです。先程の楽天インサイトの調査でも、日々の暮らしにプラスになるとの回答が多いです。
- 「気持ちが前向きになった」(57.8%)
- 「やるべきことへの活力が湧いた」(34.4%)
- 「ストレスを感じることが減った」(31.9%)
また、共通の趣味を通じて新しい人間関係が広がることも多く、独身の方にとっては貴重な交流の場となります。
推し活のマイナス面──経済的・精神的な依存リスクも
推し活の年間平均支出額は約25.5万円。月に2万円超といったところです。特に熱心な層では40万円以上を費やすケースもあります。
おそらく50代独身会社員の読者の皆様でしたら、月に2‐3万円程度のやりくりでしたら、多くの方はそこまで深刻な家計への圧迫はないと想像しております。
ただ、もしも「現実逃避の手段」や「寂しさの埋め合わせ」として推し活にのめりんでしまい、課金が多めになりますと、実生活や家計への影響が出る可能性も。
また、あまりにも熱中しすぎてSNSなどでの過激な応援コメントや“やらかし”と呼ばれる迷惑行為に発展する例もあるため、大人の推し活には程々の気持ちの余裕が必要です。
推し活は“生活の軸”をキープしてこそ楽しめる
推し活は心を満たし、生活に潤いをもたらす素晴らしい趣味です。しかし、生活基盤がぐらついたままでは本末転倒です。
・収支バランスを整えた上で、推し費の上限を設ける
・推し専用の「ご褒美貯金」をつくる
・将来の不安を感じたら、収入・支出全体を棚卸し把握する
このような工夫を取り入れることで、推し活を長く健やかに楽しむことができます。
まとめ:推し活は「生きがい」。でも、自分が人生の主人公。
推しは人生の支えになり得る存在です。しかし、心もお金も預けすぎるのではなく、自分自身が主導権を持って楽しむことが何より大切。何より自分が人生の主人公なのです。
食べ物に例えると、ご自身の体はまず炭水化物、タンパク質、脂質など基本的な栄養素をバランスよく摂取してこそ健やかに暮らせます。推し活は人生のスパイスや、お酒あるいはスイーツなどの嗜好品の位置づけになります。
スパイスや嗜好品は、メインの食材ではなく、適量を適切に味わうことで食生活に潤いが出ます。
心の栄養として、そして人生の楽しみの一つとして、推し活を“無理なく賢く”続けていきましょう。