定年後の仕事を考えるにあたり、一つの方法にしぼる必要はないと思っています。例えば今の会社が好きで、定年後再雇用の制度もある。少々給与が下がっても65歳まで働こう、と思っていても目論見と違う出来事が発生する可能性があります。
例えば、今と同じオフィスで勤務できるかと思いきや、とても遠い事業所での仕事をアサインされる、親の介護案件や自分の健康状態が急に変わり、今までと同じく通勤することが難しくなる、など想像できます。
仕事のプランを考えるときの2つの基準
仕事のプランを考えるときは、シンプルですが2つの基準があります。
- やりたい事
- できる事
やりたい事:もしかしたら若い頃に憧れていた事、一度挫折した事かもしれないです。例えば舞台に立ってみたい、田舎暮らしをしてみたい、動物と触れ合う仕事がしたい、カフェを経営してみたい・・等々。
やりたい事×経験のない事は比較的収入につながりづらい可能性が高いです。支払いが発生してくると仕事というより趣味寄りになってきますが、それも楽しい暮らしには必要なことです。定年後に既に経済的な基盤があるようなら、チャレンジするのはありだと思います。
実際、定年後にエキストラの仕事をされていて、拘束時間が長いうえにお金はほぼ発生しないものの、撮影現場の楽しさに話のネタが尽きない人もいます。
できる事:今まで経験のあった業務を元にした仕事は、その業界に入る心理的ハードルは低いです。
ただできる事でも、ストレス度が高く仕事の意義をあまり感じられずやりたいと思わない事は、いくら稼げそうであっても避けた方がよろしいのではと思います。あるいは生活に影響が出ない程度に、徐々に撤退、方向転換モードに入る事を検討することも必要です。
やりたい事×できる事は比較的収入につながりやすいです。それでも、情報収集のうえ準備をすることをお勧めします。特に勤めていた職場で経験ある事で独立開業しようという計画は、勤めていた会社でお付き合いがある方が全て顧客となるとは限りませんので慎重に。。
「やりたい事×未経験」は定年前に研究、プチ経験
特に「やりたい事×未経験」の場合、どのような事をするのか情報収集するのが良いと思います。
例えば定年後にフラワーアレンジメントをしたいと思い、その資格を取った女性がいましたが、いざその業界で働きだすと水の入ったお花の容器が重い!あまり暖かい環境ですとお花が早く開くため、作業場は温度低めで寒い!などアレンジメントの優雅なイメージとはかけ離れていたようでした。
だいぶ昔のこと、勤務していた社労士事務所に定年間近の男性が、夏休みの数日間、無料で良いので業務体験をしたいと来られました。(そこそこ人数のいる事務所だったので、そういった短期で勉強をしたいという方が多く来られていました。)
来られた時期は「算定」という各個人の社会保険料を決めるための書類を作成し提出する時期。100社以上の担当をしていたため業務が年間で最も繁忙期でした。
たった数日とはいえ、捺印、数字の修正など色々お願いしてしまい、その方の予想をはるかに超える忙しさだったと思います。その後、その方が開業された話を聞くことはなかったです。(私が事務所を辞めた後に開業された可能性もありますが。)
田舎暮らしやカフェ経営など、定年を迎える前に休暇を利用しちょっと体験してみることも大事だと思います。お客様側では見えない景色を見た後で、具体的な検討に入った方が良いと思います。
「できる事」は角度を変えられないか検討
できる事は、比較的仕事で続けるハードルは低いものの、あまりやりたくない事の場合は、ストレスを溜めない方を優先して撤退モードで良いと思います。
ただ、もしかして角度を変えればストレスを溜めずにその経験が役立つ可能性があります。
例えばご自身の経験を文章や動画で伝えるなど。今はブログやYouTube動画、noteなど個人で情報を発信する手段が色々とあります。例えば何かの業務のあるある集、経験談などです。
先ほど例で出したフラワーアレンジメントも、お花を活ける現場は体力勝負で難しかったとしても、自分でWeb上で作品を発表する、素敵な作家さんや作品を紹介するサイトを作るなど、少し角度を変えて好きな事を活かすこともできます。
例えば仕事であちこちの役所に出向く事が多かった場合、役所周辺のランチのお勧め店や時間をつぶすのに良い穴場、駐車場情報といった業務の周辺情報なども人によってはお役立ちです。
業界の生々しい暴露話でなくても、発信できる有効な情報は色々ありそうです。
足りないスキルは学んでみる
やりたい事が、もしも資格が必要な場合、資格があった方が有利であればそれを学んでおくのは良いと思います。その業界に近づくこともできます。
できる事であっても、プラスアルファであった方が良い知識などがあればそれを研究、勉強するのも幅が広がり、角度を変える材料となるかもしれません。
このご時世、いわゆるIT的な知識とAI活用は必要なのかな、と思います。例えばブログ立ち上げも「ココナラ」で引き受けてくださる人がいますが、全てお任せするとなかなかの出費となりそう。
YouTube動画も、まだ自分で撮ったことはありませんが、あれだけ大勢の人がアップさせているということは、(クオリティはともかくとして)きっと自分にもできるはず、と思っております。
個人的にも人に言えないITスキルですが、また新しいツールも出てくることでしょう。それに付いていけるよう、まずは自分で情報を集め、自力でどうしようもない時は人の手を借りようと思っております。
偶然の出会いはしなやかさが呼ぶ
自分でやろうとは全く考えてはいなかった事が、思わぬ方向から飛び込んでくることもあります。
ネット記事で拝見しましたが、65歳までの定年後再雇用後に、シルバー人材センターで見つけた包丁研ぎのお仕事で今はマイペースでお仕事を続けられている方がいらっしゃいました。
また、最近は日本語教師を目指す50歳以上の方が増えているという新聞記事も読みました。国内外の色々な場所で実際に活躍されているようです。
こういった情報に触れたとき、ぐっと惹かれるものがあれば「やりたい事」かもしれません。情報収集してみる、試してみるなどの柔軟かつ前向きな行動が「できる事」となり、大きな変化となる可能性もあります。
先ほどご紹介しました、フラワーアレンジメントのように思っていたのと違ったということもあると思いますが、それはそれで仕事にするのは撤退すればいいのです。
そういったトライアンドエラーでしなやかに対応していれば、ご自身に合った素敵な働き方が見つかるのではないかと思います。最初に書きましたように、方法は一つに絞らなくても、場合によってはどれかが趣味やボランティアとなるかもしれませんが、やりたいと思う事は色々持っていた方が楽しいと思います。