山登り型の方は2割、川下り型の方は8割という調査結果をちらっと見たことがあります。個人的には完全に川下り型なこともあり、周囲の友人なども真面目な働き者ばかりですが、自分から目標を定め、高みを目指し突き進むタイプはほぼいないです。統計の元データまでは検証していませんが、何だか腑に落ちます。
世の中そんなに”坂の上の雲”に向かって頑張る人ばかりではないのだと思います。後は時代もあるのかもしれません。昭和やバブルの頃は”モーレツサラリーマン”や”24時間戦えますか”的な山登りマインドがありましたが、豊かで便利な世の中になった影響もあると思います。
何かを追い求めるより、”偶然見て応募した””知り合いから声をかけられた””異動でたまたま近くにいた”事で仕事に就いたり、その場所に落ち着つき、淡々と励んでいる方の方が多いのではないかと思います。
堀江さんの川下り型コメント
山登り型の名言は著名な政治家や実業家が多いのですが、それに対し人生を川下りに例える言葉も多いものの、意外と著名人のお言葉は少な目でした。その中で異色なのがこちら。
「人生とは川に時折流れてくる桃太郎の桃を如何にして必死に取りに行くのか」-堀江貴文
堀江さんは勝手なイメージでバリバリの「山登り型」だと思っていました。人生を「川の流れ」のように例えられていて、その流れに逆らう事は出来ないし、どうせ川下りをするなら楽しむべきだとのお考えの模様。
ライブドア社長としてメディアにも多数出演され、ニッポン放送買収や選挙出馬など話題に事欠かなかった折に、証券取引法違反事件で東京地検に逮捕、拘留され、ライブドアも上場廃止となりました。
そんな急流そのもののご自身の状況の落差を味わったり、拘留中に読書三昧の生活で、ご自身の中の何かが変わったのか、それとも元々うっすら思っていた事を強く実感されたのかもしれないと勝手に推測しております。
「その船を漕いで行け お前の手で漕いで行け・・」‐中島みゆき(TOKIO 宙船)
「ああ川の流れのようにゆるやかにいくつも時代は過ぎて・・」-秋本康(美空ひばり 川の流れのように)
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず・・」-鴨長明
山登りに比べて肩の力は抜けている印象ですが、ただ川の流れに沿って流されているだけではなく、オールを持って漕ぐとなると、それなりに必死になる時はありそうです。
「川下りするなら楽しむべき」という堀江さんのコメントも、その急流にもまれて必死な状況も、全く知らない支流に入ってしまいこの先どうなるのか不安な時も含め「楽しむ」ことなのかな、と思っております。
川下りは楽しんで流れに乗る
川下りは日々の出来事に流されるだけではなく、楽しんで川の流れる方向をきちんと見て景色を味わえば、いつの間にか周囲の景色は変わり、新しい展開も見えてきて、たまたまその場にいたからこそのご縁もあったりします。
そのご縁にひらめいたら、堀江さんの言われる”桃太郎の桃を必死に取りに行く”時が来たのかもしれないです。
桃を発見したときは、その時は全力でオールを漕ぐ時も来るのかと思います。
急流も滝つぼもある。備えは必要
桃太郎の桃も、ぼんやりしていたら見逃します。また流されている間にとんでもない急流や、映画で見るようなとんでもない滝つぼに落ちることもあると思います。
例えば会社員であれば、興味を持っていた業界で人材募集をしている事を知った。自分の経験を活かせそう。逆に会社の業績が危険水域な気がするので、早めに転職の準備をした方が良いかも・・などです。
方向転換には体力が必要です。なので川の流れがゆるやかな時にはただ流されてほのぼのと、のんびりと過ごすだけではなく、桃を取りに行くときに必要な準備(オールの操作を覚えたり、流れや岩場をチェックして梶を切る方向を見据えたり)は必要なのかな、と思います。
どちらも自らの行く先の状況を情報収集しておき、いざという時はエイヤ!とカヌーのように全身で方向転換することも必要です。
”悪くない”状態も十分幸せ
川下り型は自分から”こっちにいくぞ”と目標に向かっていくのは苦手ですが、逆に”これは嫌だ”という事態となった時に、それを回避するためのパワーが湧いてくるタイプの方が多いかなと思います。
そのためには”何を避けるか”を知っておくのも大事かと思います。人によっては残業かもしれず、逆にホワイトすぎる職場で不完全燃焼感があったりと、様々かと思います。
山登り型のように目標を求めて達成し、その充実感を味わうことも素敵ですが、川下り型の”この状況ならまぁ悪くないよね”という、じんわりとした充足感で日々を過ごしていくのも一つの幸せの形で良いのではないかと思います。
たまに来るご縁を大事に手元に引き寄せつつ、避けたい出来事は全力で回避する。川下りも楽ではないのです。