今までずっと貯金をしていたが、最近気になる「貯蓄から投資へ」というフレーズ。そろそろ定年も見えてきた50代から投資をしても遅くないのだろうか・・?
いいえ、全く遅くないです。人生100年とも言われる時代、50代会社員なら「長期投資」だってまだ可能な時期です。むしろ退職金を貰ってから急に投資を始めるより、少額でも現役のうちから投資の実地訓練をしておく方をお勧めします。
経済評論家や有名投資家など投資賢者が家族にお勧めした方法は意外に似ていましたのでご紹介いたします。
貯蓄はインフレ下では実質価値が目減りします
毎月のように色々な物の値段が上がり、米に至っては同じ金額では前の年の半分しか買えない事態となっています。
貯蓄は、例えば普通預金なら、一つの銀行で「1,000万円+利息」まではその銀行が破綻したとしても守られる安全確実な物ですが、インフレの世の中では「実質価値が減少するリスク」がある、ということは実感しやすいのではないでしょうか。
昭和の頃でしたら、物価が上がっても”所得倍増政策”などで結構な勢いで賃金も上がっていました。現在は、社会全体では賃金は上昇傾向ですが、特に50代あたりは役職定年などもあり、賃金の伸びは若者ほどではない方が多いかと思われます。むしろ役員に就任などない限り、下がる傾向では・・?と予想します。
とはいえ無理に投資を始めることもない
マツコ・デラックスさんが決済用普通預金(利息は付かないかわりに銀行が経営破綻しても預金が全額守られるもの)に相当額の貯金を入れている説は何年も前からありますが、実質価値が目減りするリスクより、とにかく安全第一を選択されているのでしょう。
もちろん会社員でも同じ方法は使えます。毎日のニュースで日経平均株価がかなり大幅に動いているのを見て、投資は怖くてできない、と思われる方は無理に始めなくてもいいのです。
その場合は、元本保証されるの物の中で金利が少しでも良い商品を探すことで、少しは金利の恩恵が得られると思います。あるいは安全性の高い債券(国債など)で、利息は少な目ですが元本割れリスクがほぼ無い物を購入するのもアリだと思います。
投資賢者達がご家族に勧めた投資は「平均」と「国債」
経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸いあげるようにできている。
「経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて」山崎 元(Gakken)にある一文です。
山崎さんは2022年に食道癌の手術をされましたが、2023年に再発が判明してしまいます。余命三ヶ月と診断されたその年の春、大学に合格された息子さんに宛てて書かれた手紙が元となり出版されたものですが、山崎さんは2024年1月1日に永眠されています。
文章は明るく前向きな印象ですが、そのシチュエーションを考えるだけで、かなり壮絶な思いを込めて執筆された物だとお察ししております。上記以外にもご紹介したい内容満載なのです。
そんな山崎さんが息子さんに勧めている具体的な投資は以下の通りです。
- 全世界株式のインデックスファンド(いわゆるオルカン)
- どうしても損が嫌なら「個人向け国債変動金利型10年満期」
なお、NISA、iDeCoといった制度は、使ったら得なので使うこともお勧めしています。
また、かのウォーレン・バフェット氏も(現時点では経済ニュースなどで拝見する限りお元気ですが)ご自身が亡くなった後に奥様に勧めている資産運用は以下の通りです。
- 現金の10%を米国の短期国債に投資すること
- 残りの90%を超低コストのS&P500インデックスファンドに投資すること
いずれの方も、いわゆる「平均を買うファンド」と「自国の国債」を出されていて、何となく傾向が似ています。これだけの経済、投資のプロ達が勧めるのならちょっと真似しようかな・・とオルカンやS&P500をNISA制度を使って淡々と積み立てております。
前述の山崎さんも同書の中で「投資は長期、分散、低コスト」と言われています。投資の基本通りの話なのですが、できるだけ手数料が低い、インデックス系の投資信託をコツコツ積み立てする方法は、地味ですが投資賢者達もお勧めしている方法です。
ポイント投資でお試し
それでも投資は怖い・・と思われる方は、カード利用などで溜まったポイントを投資に回すのは如何でしょうか。
Vポイント、楽天ポイント、PayPayポイントなどを株式や投資信託で購入することができ、万が一株価の乱高下で目減りするときがあったとしても、まぁポイントだし・・とそんなにメンタルには響かないのではないかと思います。
ただ、少額でもいいので自分のお金で投資してみる方が、毎月淡々と積み立てをするだけでも、経済動向のニュースなどが自分事になってきて、色々な学びが得られ、経験値が上がると思っております。
金融機関のお勧めにそのまま乗らない
定年退職時の退職金は銀行や証券会社が狙っています。素敵な金利の定期預金(満期が短い物が多いような気がします。)と外貨預金、仕組預金や投資信託との組み合わせ商品があったりしますが、それらのパッケージに決めるのは慎重にお願いします。
特に「仕組預金」は内容を良く確認して、納得してからにしてくださいませ。「預金」という名前はついていますが、元本保証ではないという理解です。
私の単なる研究不足だとは思いますが、複雑なルールが多めなので、家族や友人には勧めないと思います。
個人的には、自社の利益を得る狙いをもって勧める金融機関の商品なら、先ほどご説明しました経済評論家の山崎さんが息子さんにお勧めした方法、ウォーレン・バフェット氏がご自身の死後に奥様にお勧めする投資法の方をお勧めしようかな、という気持ちです。
いずれにしても、投資を始める際には自分で勉強して判断されるのが何よりです。その教材ですが、”短期で儲けた”系の派手な内容のYouTube動画ばかりではなく、投資の古典とも呼ばれるような、一見地味な書籍にも幅広く目を通すことをお勧めします。