FPとうか|1級FP技能士・社労士試験合格
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。

はじめに

再雇用にとらわれず「選べる働き方」を作るのが50代の最重要テーマです。

人生100年時代、60歳で完全に引退するという価値観は大きく変わりつつあります。

パーソル総合研究所の「正社員として20年勤務した60代」の就労実態調査でも、60代前半の就業率は95%を超え、60代後半でも約9割の方が働き続けています。つまり、65歳以降の働き方は、もはや“例外”ではなく“前提”になっていると言えるでしょう。

ただし、働き方の選択肢は「同じ企業での再雇用」だけではありません。

65歳以降の方の調査データを見ると、働き続ける方のうち半数近くは正社員、契約社員などの形態ですが、“異業種へ転職”する人も20%を超えています。
さらに、30%超の方がパート、アルバイトの形態で勤務されています。

会社に残る以外の働き方も既に現実的な道として広がっています。

この記事では、現在50代の方が「65歳以降も自分で働き方を選べる状態」を作るために、今のうちに備えるべきポイントをFPとうかとして分かりやすく整理します。

読者のお悩み整理|こんな不安はありませんか?

  • 再雇用で給与が大きく下がると聞いて不安
  • 65歳以降も働く必要があるけれど、どんな働き方があるか分からない
  • 今の会社に残るか、転職するか、準備が追いついていない
  • 健康・収入・やりがいを両立できる“ちょうどいい働き方”を選びたい
  • 50代から何を準備すれば良いのか整理できていない

こうした不安は非常に自然であり、むしろ「今考えておくべき大切なテーマ」です。

FPとうかの解説|65歳以降の働き方は“制度”と“個人の希望”の両方で決まる

国や企業は、深刻な人手不足を背景に高齢層の雇用を確保する方向へ進んでいます。

厚生労働省の集計によれば、定年年齢が60歳の企業のうち、99%以上が「高年齢者雇用確保措置」を導入しており、継続雇用・定年延長などの仕組みを整えています。

ただし、制度が整っているからといって、必ずしも本人が希望する働き方になれるとは限りません。

再雇用時の給与減、仕事内容の変更、勤務日数のギャップなど、「制度上の選択肢」と「本人の理想」が一致しないことも多いのです。

だからこそ、50代のうちに“自分で選べる準備”をしておくことが、65歳以降の安心につながります。

図表|企業とシニア労働者、それぞれの実態

企業側と定年後のシニア労働者との雇用の方向性や実際の働き方など、比較してみました。

テーマ企業側シニア側
雇用の方向性継続雇用・定年延長などで65歳まで働いてほしい再雇用以外の新しい働き方を望む声も増加
実際の働き方60歳以降の継続を前提とした制度整備20%以上が「異業種・異職種へ転職」
働く理由人材確保の必要性生活費・社会参加・健康維持など多様

注意点|再雇用は“安定”だけれど、希望とズレるケースも多い

定年前と同じ企業(あるいは関連会社などで)再雇用されるのは最も一般的でスムーズな選択肢ですが、以下のような課題もあります。

  • 給与が大きく減る(一般的に3〜6割程度)
  • 役職がなくなる、責任が軽くなる
  • 勤務地や担当業務が変わる場合がある
  • 希望しない働き方を選ばざるを得ないケースがある

特に定年前後でのギャップは想像以上に大きいため、「再雇用一択」にせず、複数の選択肢を用意しておくことが重要です。

65歳以降の働き方は、定年後に訪れるさまざまな“崖”とも密接に関係します。全体は60の崖と準備でまとめています。

落とし穴|60代になってからの“初めての転職活動”は思った以上に難しい

65歳以降で転職が増えているとはいえ、60代からの転職活動は簡単ではありません。求人の選択肢、企業側の期待、体力面の課題──どれも50代とは状況が異なります。

だからこそ、転職の可能性を考えるのであれば、50代のうちに動いておくことが絶対的に有利です。

50代から備えるべきこと|“選べる働き方”をつくる4つの準備

ここからは、FPとうかとしての実務経験と、50代のキャリア相談で多くの方が実践した「現実的に効果が出る準備」を4つに整理します。

1. キャリアの棚卸し(実績とスキルの整理)

職務経歴・強み・実績を明確に整理することで、「再現性のあるスキル」が浮き彫りになります。これは再雇用・転職・副業など、どの選択肢にも応用できます。

2. 情報収集(転職市場・副業制度・業界動向)

60代から柔軟に働ける業界、シニア採用が強い企業、短時間勤務の募集など、普段から情報を集めることで選択肢が広がります。

3. リスキリング(学び直し・資格)

IT・AIリテラシー、FP資格、社労士、中小企業診断士の士業など、興味のある分野の学びは、将来の収入源や選択肢に直結します。

4. ネットワーク強化(人脈・コミュニティ)

会社以外のつながりを持つことで、相談相手が増え、働き方のヒントも得やすくなります。

FPとうかの例|キャリアは“一本道”ではなくていい

私自身、生保会社の人事、社労士事務所、外資IT企業(買収により現在は国内企業)と歩んできましたが、どの経験も後から生きてくると実感しています。
コロナ禍での「疑似定年生活」は、健康や働く意味について考える機会となり、FP資格取得につながりました。

働くことをどのように続けるかは、職業だけでなく、健康・目的意識・生活のバランスで決まります。50代のうちに方向性を固めることで、65歳以降の選択肢が広がります。

まとめ|65歳以降の働き方は、50代からの準備で決まる

働き方が多様化したいま、「再雇用だけ」ではなく「選べる働き方」を準備しておくことが安心につながります。

  • 制度に頼るだけではなく、自分で選べる状態をつくる
  • 転職や副業は50代から動くほど有利
  • 健康・収入・働き方のバランスが重要
  • 働く目的を明確にするとブレない

自分らしい65歳以降をつくる鍵は、今まさに手にしています。今日の一歩が、未来の安心につながります。

※本記事の主な参考データ(出典名のみ記載)
厚生労働省「令和5年 高年齢者雇用状況等報告」
パーソル総合研究所「正社員として20年以上勤務した60代の就労実態調査」
ヒューマンホールディングス「65〜74歳の男女 就労実態調査」

この記事を書いた人

FPとうか
ファイナンシャルプランナー1級/社会保険労務士試験合格者。 50代シングル会社員向けに、老後資金・働き方・学び直しなど「これからの人生を整える情報」を発信しています。

働き方と老後の準備に役立つ記事

60の崖と準備まとめ

50代はどう備える?働き方とお金

川下り型キャリアで流れに乗る

ABOUT ME
FPとうか
1級FP技能士/社労士試験合格。 50代シングルが抱えやすい “定年前後のお金・制度・働き方” をわかりやすく整理して発信中。 未来の不安をほどき、自分で判断できるヒントをお届けします。 ● 詳しいプロフィールはこちら ● X(更新情報はこちら):@fptouka