学びとキャリアの再設計

60の崖と準備⑦|アップデートの崖──学びを止めた瞬間に取り残される

60の崖と準備⑦ アップデートの崖|FPとうか

前回は「資産の崖」をご紹介しましたが、今回は「アップデートの崖」をお伝えします。

「アップデートの崖」とは、学びを止めた瞬間に、社会との接点や可能性の選択肢が少しずつ失われていく現象を指します。 知識やスキルは、放っておくと静かに古びていきます。 AIやデジタル技術が急速に進化する中で、「昨日までできたことが、今日からは古い常識」となる時代です。

特に50代シングル会社員にとって、まだ仕事をしているうちは必要なこともあり、強制的に知識や技術の更新に追いつかないといけないですが、定年を機に「もう新しいことを覚えなくてもいいか」と感じたときこそ危険信号。

更新を止めると、情報・人脈・キャリアの選択肢が同時に狭まっていきます。
この「アップデートの崖」をどう乗り越えるかが、定年後の人生の差を生むのです。

学ばないことで起きるリスク

パーソル総合研究所の調査によると、ミドル・シニア層(35〜64歳)のうち「学び直しを行っている人」はわずか14.4%。 つまり、約8割以上が学んでいないという現実があります。

また、経済産業省「未来人材ビジョン」によれば、社外学習・自己啓発を行っていない人の割合は46%(次はニュージーランドですが、割合は20%台でだいぶ差があります。) 世界的に見ても、日本は「学ばない国」の位置づけにあるのです。

学ばないことによるリスクは単なるスキルの遅れにとどまりません。

  • 新しい技術・AIの波に対応できず、職場での役割が限定される
  • 社会変化に興味を持てず、話題や人間関係が狭まる
  • 頭の柔軟性が低下し、考え方が固定化する

つまり、「学ばない」ことは、知らないうちに人生の自由度を奪うリスク行動でもあるのです。

参考:ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査(パーソル総合研究所)

参考:未来人材ビジョン(経済産業省)

学ぶことで得られるメリット

一方で、「学び直し」を始めた人の多くは、その効果を実感しています。

前述のパーソル総合研究所の調査では、趣味の学習を通じて、「仕事の成果向上」や「収入源の増加」といった仕事や収入への波及効果を実感しているミドル・シニア就業者ほど、将来のキャリアや収入への不安感・危機感が少ないという結果もあります。

学びは、単にスキルアップのためだけではありません。

  • 新しいことに挑戦するワクワク感が生まれる
  • 自分の市場価値や可能性を再発見できる
  • 同じ目的を持つ仲間との出会いが増え、孤独の緩和にもなる
  • 脳を使うことで「認知機能の維持」にもつながる
  • 新しい機器やサービスを使えることで世の中の”便利”を享受できる

つまり、「学び」「アップデート」は心・身体・社会的な健康を同時に高める行為
これは「康の崖」「孤独の崖」にも連動する、最も効果的な“予防投資”といえます。

身近なところでは、新しい機器(スマホなど)の操作ができる・できないの差は日常生活の便利でお得なサービスなどにアクセスできるかどうかでかなり差が出てきそうです。

インターネット、AIを活かす“50代の学び方”

インターネットの登場は「学び直し」のハードルを大きく下げました。私もFP1級の受験中は、FPキャンプにほんださんYouTubeチャンネル、一問一答サイトなど大いに活用させていただきました。

資格試験でなくても、興味のある分野のサイトやYouTubeなど、その情報にアクセスするハードルは低くなっています。

またChatGPTなどの生成AIを使えば、いつでも・どこでも・自分のペースで学べる環境が整っています。

たとえば、

  • AIにExcel関数や英会話の例文を質問して実践
  • 最新のビジネス用語やニュースをAIに要約してもらう
  • 資料作成のサポートを受けながら効率的に理解する

AIは「自分専用の学びパートナー」として活用できます。
学ぶ環境を整えることは、もう難しいことではありません。
大事なのは、「今の知識を守る」ではなく、「常にアップデートしようとする」意識です。

50代からの学び直しで広がる未来

学びは、定年後の人生を豊かにする最大の武器です。

– キャリアの再設計:培った経験+新しいスキルで副業・再雇用へ

– ライフワークの創出:興味ある分野で地域活動や発信を開始

– 精神的な若返り:「まだ成長できる」という自己効力感

学び続ける人は、仕事を超えて「生きる力」を持ち続けます。
たとえ今の職場で必要とされなくなっても、学び直しをしていれば「次の扉がある」。
それが、アップデートを続ける人だけが持つ“安心感”です。

ところで「定年後の日本人は世界一の楽園を生きる」(佐藤 優著)でも、学び続けると人生も社会も豊かになるとの一文があり、深く共感できるフレーズでした。

定年後の不安をあおる情報が多い中、国際社会の中で日本は”楽園度”が高い老後の暮らしができる国なのだと改めて感じられる、かなりお勧めの一冊です。

今すぐできる“学びの第一歩”

難しいことを始める必要はありません。 まずは「興味のあることを、少しずつ習慣化」するだけで十分です。

  • AIを使ってみる: AIに「この記事を3行でまとめて」、「●●の統計資料を出して」など指示をしてみる、試しにLINEアイコンを作ってみる
  • 資格・語学の学び直し: ITやAI関連、簿記、TOEICなど、再挑戦する、オンライン講座を受講してみる
  • 図書館に行ってみる: 近くの公共の図書館、大学の図書館などで興味の持てる本を借りる
  • SNS・ブログで発信: 学んだことを誰かに伝えることで定着する、ITスキルも上がります

学びは、日々はほんの少しでも「積み重ねた量」「続けた期間」でじんわりと人生を変えます。
今日の10分が、未来の自分を変える第一歩です。

もしも具体的に何を学習したら分からない・・という方はお試しで「FP3級」の動画を見るのは如何でしょうか。実際に金融リテラシーが高まる効果があり、お勧めです。

これから定年を迎え、退職金や年金、医療費や税金、また相続のことなどを知るにはFP3級の勉強範囲はとても良い”とっかかり”になります。

まとめ:学び続ける人が、未来をつくる

アップデートの崖とは、「学びを止めた瞬間に取り残される崖」。 でも、同時にそれは「いつでも登り直せる崖」でもあります。

50代の今、少しずつでも知識を更新していけば、

  • 仕事の選択肢が増える
  • 社会とのつながりが広がる
  • 自分への自信が戻ってくる

学びは“未来への投資”であり、最大の自己防衛策。
「知っている人」ではなく、「学び続ける人」が、この先の時代を楽しめます。

私もブログ運営を通じて少しITスキルがつきました。引き続き学び続けようと思っています。 

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