「山登り型」と「川下り型」。キャリアの築き方には大きく2つのタイプがあると言われます。前回ご案内した、目標を定めて一直線に突き進む“山登り型”に対して、“川下り型”は流れに身を任せながら進んでいくスタイル。
私自身は完全に“川下り型”です。周囲の友人たちも、真面目で働き者だけど「これを目指してきた!」という人は少数派です。どちらが良い悪いではなく、大切なのは自分に合った進み方を知っておくこと。
川下り型の強みは“しなやかさ”
何かを追い求めるというより、偶然の出会いや流れに身を任せることで、結果的に仕事や居場所を見つけていく。そんなスタイルが“川下り型”です。
「知り合いに誘われて」「たまたま異動でその部署へ」「何となく始めた仕事が意外と続いている」──そんなきっかけからでも、気づけばその場所でしっかり根を張っている人も多いものです。
名言から読み解く“川下り型”
意外にも“川下り型”の考え方を肯定してくれる言葉があります。
「人生とは川に時折流れてくる桃太郎の桃を、いかにして必死に取りに行くか」 ―― 堀江貴文氏
典型的な「山登り型」に思われそうな、成功した経営者である堀江さんも、実は人生を“川の流れ”に例えています。
流れに逆らえないなら、うまく乗って、その中でタイミングを見てチャンスをつかみにいく。まさに“川下り型”の極意です。
チャンスを掴むには“準備”が必要
川下りの途中、思わぬ桃=チャンスが流れてくることもあります。ただし、それに気づき、掴みにいくにはある程度の備えが必要です。
- 気になる業界、社内の動向に目を向ける
- 自分の経験をどう活かせるか整理しておく
- スキルアップや資格取得で方向転換の準備をする
例えば会社員であれば、興味を持っていた業界で人材募集をしている事を知った。自分の経験を活かせそう。逆に会社の業績が危険水域な気がするので、早めに転職の準備をした方が良いかも・・などです。
桃もあれば急流や滝もあるかもしれません。方向転換には体力が必要です。なので川の流れがゆるやかな時に、ただ流されてほのぼのと、のんびりと過ごすだけではなく、桃や急流への備え(情報収集や小さな学びは)は必要なのかな、と思います。
流されるだけじゃない、“選ぶ力”もある
川下り型は自分から”こっちにいくぞ”と目標に向かっていくのは苦手ですが、逆に”これは嫌だ”という事態となった時に、それを回避するためのパワーが湧いてくるタイプの方が多いかなと思います。
そのためには”何を避けるか”を知っておくのも大事かと思います。
- 自分に合わない働き方
- 過度なストレス環境
- 健康や時間を削る生活
人によっては残業かもしれず、逆にホワイトすぎる職場で不完全燃焼感があったりと、様々かと思います。“川下り型”といっても、ただ流されているだけではありません。流れの中で「これは嫌だな」と思ったら、その方向を避けるという選択ができるのもこのタイプの強みです。
“悪くない”日々も、立派な幸せ
キャリアの理想像は「目標を達成していくこと」だけではありません。
- 「今の仕事、悪くないな」
- 「この職場、意外と居心地がいい」
- 「特に目指す場所はないけど、毎日が安定してる」
そんな“じんわりした幸せ”も、人生においてはとても大切。たまたま流れ着いた場所で出会った人や経験が、やがて自分にとってかけがえのない財産になることもあります。
たまに来るご縁を大事に手元に引き寄せつつ、避けたい出来事は全力で回避する。川下りも楽ではないのです。
川下り型タイプの方は、流れに身を任せつつも、少しだけ川の行く先に目を配り、漕ぐ方向を意識してみませんか?