前回ご案内した、個人向け国債は確かに安全で人気の選択肢で50代、60代にの購入者が多いのは分かります。しかしそれだけが「守りの資産」ではありません。
今回は、国債以外の堅実で安全性の高い資産運用方法を比較しながら、FP視点でのおすすめ活用法もご紹介します。さらに、もう少しリスクを取れる方には「債券型インデックス投資信託」も選択肢として検討できます。
堅実派に向けた安全資産の比較
以下のような種類がありますが、預金はたまにキャンペーンなどで「お得な金利の預金+投資信託」のセット商品や「仕組債」など条件が分かりづらい金融商品があったりします。
堅実派の方にとっては、よく分からないセットの商品、やたら難しい条件設定がされている商品は回避した方が良いと思います。
個人年金については終身や〇年確定など、受け取り方が色々ありますが、長生きする人がお得な「トンチン年金」という種類もあります。以前前編、後編でご案内しましたのでご参照ください。
商品名 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている人 |
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定期預金(ネット銀行) | 一定期間預けるだけ。手間なし | 元本保証。キャンペーン金利あり | 金利が低め | 絶対に元本割れしたくない超安全志向の方 |
個人年金保険(確定型) | 毎月積立、将来年金形式で受け取る | 老後資金として計画的に備えられる、所得控除あり | 途中解約で元本割れのリスクあり | 長期運用が前提の人。保障との併用を重視する人 |
個人向け社債(格付高) | 企業が発行する債券。満期まで保有 | 国債より高金利(0.5〜1.5%) | 企業の倒産リスクあり。選定に注意が必要 | ある程度リスクを許容できる人 |
参考: 定期預金の金利が高いランキング(ザイ・オンライン編集部)
参考: 個人年金保険人気ランキング (保険市場)
国債以外で「少し冒険してもいいなら」──債券型インデックス投信という選択肢
個人向け国債よりも若干リスクはあるものの、比較的安定的な値動きと利回りが期待できる「債券型インデックス投資信託」も注目されています。特に50代・60代で、「少し増やしたいけど、株式ほどの値動きは避けたい」という方には適した選択肢です。
もしも堅実派の方が投資信託を購入しようと思ったら、まずはNISA利用の積み立て投資をお勧めします。NISAは利益の約20%の税控除が無いので、その分手元に利益が確保できるのでその分お得です。
ファンド名 | 信託報酬 | 為替ヘッジ | 純資産規模 | 特徴 |
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eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 年0.154% | なし | 1,500億円超 | 低コストで長期保有に適した人気商品 |
たわらノーロード先進国債券(為替ヘッジあり) | 年0.22% | あり | 約600億円 | 為替リスクを抑えたい人向けの設計 |
参考:新NISAナビ (NPO 確定拠出年金教育協会)
FPとうか的・活用アドバイス
まずは「生活防衛資金」としての6ヶ月から1年分程度の貯蓄は、普通預金、定期預金などで確保することが前提となります。生活防衛資金以外の余裕資金で検討くださいませ。
私自身は「つみたてNISA」や「iDeCo」でS&P500やオルカンなどの株式インデックス中心での運用に集中しておりますが、ほんの少し債券型投信を入れています。債券投信は、「元本保証ではないけれど、ほどよいリスクとリターンを取りたい」という方にちょうど良い中間地点だと感じています。
- とにかくリスクを取りたくなければ、利率がお得な定期預金、国債
- ほんの少しリスクを取って良ければ社債
- 掛金が所得控除されて少しお得、将来に受け取れるのは個人年金
- 少しリスクを取って良ければNISA利用で債券投信
おそらくNISA枠がいっぱいになる時期には、退職金など、年齢的にリスクは避けたい、かつまとまった収入がありそうです。その際はNISAが適用されない国債、社債か、利率のよい定期預金などで守りつつ少しだけ増やしたいと思っています。
ついでながら、NISAを利用する投資信託は、債券型でも株式型でも、あくまで「長期で保有し、日々の値動きに左右されない心構え」が前提です。
まとめ:あなたの“安全”の定義に合う資産を選ぼう
安全な資産運用にも選択肢は多様です。「とにかく元本保証」「少しは増やしたい」「為替リスクは避けたい」…その条件ごとに、自分に合った商品を組み合わせることが大切です。
個人向け国債を軸にしながら、他の選択肢とも上手に付き合っていきましょう。