「何をするにも気が乗らない」「やらなきゃと思っているのに、体が動かない」。
そんな状態になってしまうことはありませんか?
2020年にPresident Onlineが行った「1万人に聞きました『50代にやればよかった12の後悔』」では、第2位に「モチベーションがどうしても湧かなくなってしまった」がランクインしています。
つまり、やる気の低下は多くの50代が直面し、そして後悔している課題でもあります。
記事では役職定年などによる収入ダウンで、モチベーション維持ができなくなった事例が書かれていますが、50代は男女問わず更年期や、健康状態の変化など、やる気を落とす落とし穴がいくつもあります。
今回は、そんな“やる気が出ない自分”とどう向き合えばいいのかを一緒に考えていきます。
やる気が出ないのは“自分が悪い”わけではない
やる気が出ないと、「自分は怠けているのでは?」「意志が弱いからでは?」と自分を責めてしまいがちです。
でも実は、やる気の低下には身体的・心理的・環境的な仕組みが深く関わっています。
東洋経済オンラインの記事「50代の「うつよけ」メンタル不安定期の乗り越え方」では、40代から50代の身体的な変化(前頭葉の萎縮、脳内伝達物質やホルモンの減少)を踏まえつ、「いまを変える」意識改革が必要だと解説されています。
では、具体的にどんなきっかけでやる気(モチベーション)が落ちてしまうのでしょうか。
50代でモチベーションが落ちやすい理由とは?
年齢とともに、私たちのモチベーションは自然と変化していきます。
以下のような要因が、特に50代で意欲の低下を招きやすいとされています。こうした状態に陥っても、「あなただけが特別ではない」のです。
- キャリアの天井を感じる:「昇進はもうない」「このまま定年まで…」という先の見え方
- 健康や体力の衰え:以前より疲れやすく、集中力も続かない
- 家族や職場環境の変化:親の介護、子の独立、仲間の退職などにより孤立感が強まる
- 「どうせもう遅い」と思いがち:新しい挑戦を避けてしまう心理
その記事によると、年をとればとるほど「心身相関」が強く現れるため、意欲の低下から心の調子が悪くなると、体の調子が悪くなってしまう傾向が強まるそう。なんだか実感が湧きます。(その逆の、体の不調から心の不調につながるパターンもあるそうです。)
そのため、特に心の調子を良くする「うつよけ」の準備が重要になってきます。
では、どのような工夫で意識改革(「やる気スイッチ」を入れる)ことが出来るでしょうか。
「やる気スイッチ」は環境にある:整える4つの工夫
やる気を引き出すには、意志の力よりも「仕組み」「環境」「習慣」が効果的です。
東洋経済オンラインの記事でも「持って生まれた性格、また過去も変えられませんが、変えられるのは今の自分の考え方であり、毎日の過ごし方であり、これからの行動なのです。」との提案をされています。
簡単に実践しやすい、ささやかな工夫を4種類ほどご紹介します。
環境を整える:
- 朝起きてすぐカーテンを開ける
- 散歩して太陽光を浴びる
- 作業場所を変える(カフェや図書館など)
- 机の上にスマホを置かない
報酬を用意する:
- 「1時間作業したらお気に入りのコーヒーを飲む」
- 「1週間継続できたら推しの動画を見る」など、自分なりの“ごほうび”で脳に快感を与える
意味づけを変える:
- 副業を「稼ぎ」ではなく「人生の複線づくり」と捉える
- 家計簿や料理を「マネープランや健康管理の一環」と捉えると行動に前向きになれる
仲間とつながる:
- 興味のある講座やオンラインコミュニティに参加
- 同じテーマを持つ人との雑談が、思わぬモチベーションのきっかけに
小さな成功体験で“再起動”する
やる気が出ない時ほど、「できないこと」に注目して落ち込みがちです。
でも、本当に大切なのは「やる気がない状態でもできること」を積み重ねることです。
たとえば、こんなことから始めるのは如何でしょうか。
- 机に向かうだけでOK(作業しなくてもいい)
- ノートを1ページ開いて、一言だけ書く
- 5分間だけ掃除する(終わらなくてもいい)
- 気になる記事を1本だけ読む
- 「今日のよかったこと」を1つ出してみる
こうした「小さなできた」を意識的に繰り返すと、脳が「動くと気持ちいい」と覚えてくれるようになります。
1週間続いたら、それだけで立派な“成功体験”です。
私も帰宅後や週末は億劫になりますが、PCのスイッチを入れ、ブログの画面を見るだけでも習慣づけるようにしています。
最初は面倒でも、不思議と始めれば”今度はこんな記事にしよう””ここの設定を直そう”などと思い、楽しくなったりします。
やる気が出ない状態は、決して「あなたがだめな人だから」ではありません。
それは環境や心の疲れが教えてくれる、「ちょっと整えてみよう」のサインなのです。
今日できそうなことを、1つだけ選んでやってみませんか?
和田先生の言葉を借りますと、”50代は「老いの思春期」”とも言えますが、この時期をどう過ごすかによって、後悔しない時間をつくるはじめの一歩になるかもしれません。