「定年後は時間がたっぷりあるから、そのときに趣味や旅行をゆっくり楽しもう」──そう思っていたけれど、いざ時間ができて少し試したら意外とやる気が起きなかった…という話、耳にしたことはありませんか?
実は、50代の多くが「やりたいことを後回しにした結果、楽しめなくなってしまった」ことを後悔しているのです。
2020年7月にPresident Onlineで掲載された「1万人に聞きました『50代にやればよかった12の後悔』」によると、第4位に《地域デビュー、妻と旅行、学び直しや趣味は“暇つぶし”にしかならなかった》という回答が挙がっています。
定年後に地域デビューや旅行などをしようと計画し、いざ始めると(最初は楽しかったとしても)暇つぶしでは充実感は得られなかった。人生の柱にはなりえず後悔を感じるという内容です。
なぜ“やりたかったはずのこと”がつまらなくなるのか?
私自身も今、休暇をやりくりして友人と小旅行に出かけたり、通勤時間中に眠い目をこすりながらFPの勉強をしていたり、気になる本を読み進めたりしていますが、どこかで「定年後にゆっくりできるようになったらもっと楽しめるだろう」と思ってきました。
でも最近、こう感じることがあります。
「“いつでもできる”状態になると、かえってやる気がなくなってしまうのでは?」
読みたい本、見たい映画、観たいあの配信シリーズ…。
忙しい今だからこそ「時間を作って楽しもう」というエネルギーが湧いていたのではないか。
そして、それは“いずれ時間ができたら…”という未来では、もしかすると味わえなくなるのではないかと。
地域デビューの抵抗感も、今の自分だから?
調査結果にある「地域デビュー」も、今の私には少しハードルが高く感じます。
正直なところ、積極的に参加したいという意欲は今の時点ではないのです。休日は用事をすませてゆっくり休ませてください・・
でも、それは今の私だから感じることかもしれません。
時間ができた未来の自分が本当に変わって積極的に参加するのかどうか──確証はありません。
むしろ、今の延長線上にいる未来の自分も、「まぁ、いつでもいいか」と同じように感じて、結局何もしないかもしれません。
それはまさに「50代を後悔している理由6位」の“ちょっと充電してから考えます”という思考停止にも通じる感覚です。
忙しい今だからこそ「趣味」は輝くのかも
趣味や旅行、学び直しは、“時間が余っている”状態で始めるものではなく、“時間をやりくりしてでもやりたいと思っている今”だからこそ価値があるのかもしれません。
短い旅行でも、本1冊を数日かけて読むだけでも、「今」の自分を満たしてくれる経験になる。
それは、いつか来る「暇な日々の時間つぶし」とは違って、人生を豊かにしてくれる趣味の楽しみ方です。
無理なく、今のうちから試せること
以下は、忙しい日常の中でも無理なく取り入れられる「今すぐできる趣味の始め方」です。
- 旅行は1泊でも日帰りでもOK:「行きたい場所」リストを作って、まずは近場から。
- 読書・映画は“ながら消費”でもOK:通勤中にスマホ視聴、週末の朝に30分だけでも。
- 地域参加は“単発・限定”から:地元の講座、街歩きイベント、ボランティアの体験参加など。
大切なのは、「定年後にしよう」と思っていることを、“今のライフスタイル”の中に少しずつ組み込んでいくこと。
未来の時間を当てにするのではなく、今の気持ちがまだ新鮮なうちに動いてみるのが後悔しないコツです。ほんの短時間訪ねた観光名所が印象に強く残り、定年後にもっときちんと計画して行きたい場所となるかもしれません。
また、思い立ったら動けるシングルの身軽さで、友人と都合が合わないようならば単独行動で試してみるのも良いと思います。
後悔しない50代のために、“いつか”を“いま”に変える
「50代 後悔」と検索する人が多いのは、それだけ人生の折り返し地点で不安や迷いを感じる人が多いから。
でも、だからこそ今この瞬間を大切にしたいものです。
もしあなたが「これ、やりたかったんだよな」と思うことがあるなら、未来の自分に取っておくのではなく、今の自分が、ほんの少しだけでもトライしてみてください。
その小さな一歩が、定年後の人生をもっと豊かにしてくれるかもしれません。