定年退職を意識すると、とたんに気になってくる老後の年金のこと。
国民年金や厚生年金などの公的年金ですが、若い頃は「自分が年を取るころは年金なんて出ないよ」なんて説もあったくらいですが、実は年金を貰えるのは年をとった時だけではないのです。
老齢だけではない公的年金
- 老齢になったとき
- 障害状態になったとき
- 死亡したとき
上記のようなケースに、諸々の条件を満たすと年金支払いがあります。ただ年を取った時のために年金の積立をしているだけではなく、色々な事象に応じた年金の給付をしているのです。
そのため私たちが納付したり、給与から徴収されているのは、国民年金「保険料」、厚生年金「保険料」と呼ばれるのです。
3つの加入区分:国民年金と厚生年金の違い
公的年金にはまず「国民年金」があり、全国民がいずれかの形で加入する必要があります。その中で大きく3つの加入区分に分かれます。
- 第1号被保険者:自営業・フリーランス・学生など。自分で国民年金保険料を納付します。
- 第2号被保険者:会社員・公務員など。厚生年金に加入し、保険料は給与から天引き(事業主と折半)されます。
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者。本人の保険料負担はありません。
誤解されがちですが、「専業主婦=第3号」ではなく、「第2号の扶養に入っているかどうか」が分かれ目です。同じ専業主婦でも、自営業(第1号)の扶養に入っている場合は第1号であり、自分で国民年金保険料の納付が必要です。
時折、「専業主婦は保険料を納めていないのに年金をもらえるのは不公平だ」といった論争もありますが、同じ”扶養されている専業主婦”の間であっても、配偶者の職業によって第1号の区分で保険料を納付したり、第3号で保険料を納付しなかったりと、あまり注目は集めていませんが、不思議な格差があるのも事実です。
年金制度については、こうした背景もあり、見直しの議論がたびたび話題になります。今後の制度変更にも注視していきたいところです。
国民年金保険料は取り立てもある
年を取った時に年金なんて出ないし…と思って若いころに国民年金保険料の納付を漏らしている方も、もしかしていらっしゃったのかなと思います。
会社員が加入している厚生年金保険料については、問答無用で給与や賞与から天引きですが、実は会社も折半で負担をしてくれているのです。有難い制度なのです。
国民年金保険料も近年は納付率もアップしているらしく、厚生労働省のデータによると年々伸びてきています。
国民年金保険料の納付率
- 2010年:64.5%
- 2013年:70.1%
- 2016年:74.6%
- 2019年:78.0%
- 2021年:83.1%
一括払いだと保険料の割引があったり、保険料を納めやすくするため、クレジットカード納付、スマホ決済アプリなどで納付しやすく工夫されています。
その一方で、きちんと保険料を納めている方との不公平感をなくそうと、未納の方のうち、「ある程度収入のある方」には文章や、電話、個別訪問などで納付の奨励の対応をされています。
収入については、お役所同士のデータ連携で割ときちんと把握できているようです。
さらに「度重なる奨励にも応じない悪質なケース」には強制徴収がされています。実際に2024年9月時点の資料ですが、令和6年(2024年)には1万件を超える財産差し押さえがあったとか。
もちろん何も前触れ無しに家に押し掛けるわけではないですが、国民年金の未納の連絡があった時は、すぐに対応することをお勧めします。
なお、国民年金は、経済的に苦しい状況の方には保険料免除の制度があります。きちんと届け出をすれば、保険料の支払いは免除されますが、免除された分に応じて年金額は減ります。全額免除でも、国庫負担分の年金の支払いはありますので書類の提出は大事です。
参考:国民年金保険料強制徴収の実施状況(日本年金機構)
定年を意識したら年金記録のチェックを!
「シングル会社員」と前置きしておりますので、恐らくこの文章を読まれている方は、厚生年金に加入されている勤め人の方が多いと想像しております。
そのため、厚生年金をメインでお伝え出来ればと思います。
皆様にとって最も気になるのは、老齢となった際に支給される年金ですが、独身者にとっては万が一の障害状態となった際に支払われる年金についてもきちんと把握しておきたいところです。
そのためには年金の加入記録が間違っていないか、きちんと確認する必要があります。
確認する記録ですが、ねんきん定期便です。50歳より前に届く物もありますが、50歳を超えると書式も変わり、60歳まで加入した場合の年金額シミュレーションもとなってきて、ぐっと現実味を帯びた内容となってきます。
ねんきん定期便の具体的なチェックのポイントは次回ご案内いたします。