日本年金機構発表のデータによりますと、実は年金の記録で解明がされていないのは2024年9月時点で1689万件あるのだそうです。
新卒で保険会社に入社し、人事で仕事をしていた際、また社会保険労務士事務所で勤務していた際に、年金の記録が違っている色々なケースが実際にありました。
自分は大きな企業1か所だけに勤めているから大丈夫・・などと安心せず、ねんきん定期便はきちんと確認することをお勧めします。
国民年金の記録が反映されていない
国民年金は20歳以上の方が全員加入となっている制度です。
おそらく大学を卒業後に企業に就職された方というケースが多いと思われますが、その場合、20歳‐22歳の間の国民年金は、親が払ってくれていたはず、あるいは免除の申請をした記憶があるかもしれないです。
なお、1991年3月以前は、学生だった期間は任意加入でした。その期間は年金の計算上は年金の受給資格上の120月(10年)の計算には含まれるものの、年金の金額の計算上は含まれないという「合算対象期間」と呼ばれる期間となります。
では1991年4月以降に学生だった期間の国民年金は・・?こちらの期間は保険料の支払いをする、あるいは免除の申請がされていない場合は、単なる未納の期間となってしまいます。
もしも記録が無い場合は、念のためご両親に確認するなどして、国民年金保険料の支払いや免除申請が確認できた場合は、年金事務所に届け出をして修正の依頼をしましょう。
もう一つは、ご自身が転職の合間に少し間が空き、その期間分の国民年金に加入する手続きをした、あるいはしばらく自営をしていたが収入が少なくいため、免除の申請をしたはずなのに記録に反映されていない場合です。
こちらも手続き関係の書類や国民年金保険料の支払い記録が残っている場合は年金事務所に届け出をしましょう。
厚生年金の記録が違う気がする
現在50歳前後の方が社会人となった、平成の最初の時代はまだ厚生年金番号、国民年金番号の両方を持っていたりしてデータが統一されていなかった時期です。また、手書きで書類を記入し、そちらを機械で入力していたため数字などに登録誤りがあったりします。
人事や社会保険労務士事務所で勤務していた際に発見した記録の違いは以下のような物でした。
- 氏名の漢字が違う
- 氏名の読み仮名が違う
- 生年月日が違う
- 資格取得/喪失年月日が違う
- 標準報酬月額が違う
漢字、読み仮名の違いは機械に入力の際に、難読漢字や読み仮名が違っていた記録がそのまま生きているケースです。例えば斉藤の「斉」の文字など。こちらはA社で「斉」でB社は「斎」だと生年月日が同じでも別人扱いです。
生年月日、資格取得日/喪失日、標準報酬月額などの数字については、例えば「1」と「7」など、書類に書いた数字が誤っているケース、あるいは数字が正しくてもデータベースに登録の際にミスをする、などが考えられます。
また「資格喪失日」は会社を退職した場合は通常その退職日の翌日となりますが、間違って退職した日を登録している可能性もあります。この誤りで年金の記録が1か月ずれているケースもあり得ます。
持ち主不明の年金記録は一時5000万件超!
日本年金機構のHPにも年金記録問題について説明がされています。1997年時点で持ち主不明の年金記録は何と5095万件あったのだそうです。加入された方の申し出やご担当の方の尽力でだいぶ解明されましたが、いまだ冒頭に書きました1689万件が未解明なのだそう。
年金記録の相違は「退職後、結婚し姓が変わった」、「いろいろな名前の読み方がある」、「転職のたびに年金手帳が発行された」の3パターンが多く、関連する事例が全体の約9割を占めているのだそうです。
独身者ですと結婚し姓が変わるパターンは無さそうですが、現在は基礎年金番号に統一されていたものの、私もねんきん定期便に国民年金の記録が反映されておらず、一本化の手続きを取りました。
お名前も、読み方が難しめなちょっとキラキラした感じの方は記録を注意した方が良いのかもしれないです。
企業規模に関わらず油断大敵
新卒で入社した会社で人事の仕事をしていた際は、4月の新入社員の人数が多く、年金手帳がとてもじゃないが運べない量だったため、その時は社会保険事務所(現在は年金事務所です)との往復に社用車を使って良かったものです。丸の内仲通りを黒塗りの車に乗せていただいた貴重な経験でした。
入社時に新たに発行された年金手帳も、さすがに1冊1冊チェックはできず、あちこちの拠点にいる各社員に配布するだけでも一苦労。それを数年担当しましたので、発行された年金手帳は千単位の数だったと思います。それが全て何一つ間違えは無かったかと言われると、ちょっと自信がないのが正直なところです。(先程お伝えしましたように、こちらが正しく書類を書いても、データ登録が誤っている可能性もあります。)
もちろん誤りを発見したケースもありますが、必ず修正届をこちらから提出する必要がありました。いわゆる大企業であれば雇用の記録が見つけやすいので、修正は比較的楽です。
既に私が担当していた平成の初め頃には行っていなかった手続きですが、全国あちこちに事業所があると、そちらに異動となった場合、新たな勤務地の社会保険事務所に記録を移動させる手続きが存在しており、昔の手続きの控えが保存されていました。保険会社などは転勤が多く、全ての社員の社会保険の記録が途切れずきちんと手続きが取れていたのか、こちらも不安なところです。
規模の小さい会社ですと、最初しばらくはアルバイト扱いで社会保険に加入対象外だったなど本人の記憶とのズレがある可能性があります。やはり雇用されていた期間をきちんと自分で把握しておくことは非常に大事です。