ねんきん定期便などで確認した老齢年金の金額。年金の記録は間違いなさそう。見込み額を見てもう少し増やしたいな・・と思われた方もいらっしゃるかと思います。老齢年金を増やすには大まかに2つの方法があります。
- 公的年金の納付を増やす
- 繰下げ支給を選択する
今回は公的年金の納付を増やし、老齢年金額を増やす方法についてお伝えしたいと思います。
方法1:厚生年金に加入する
まずは単純な方法ですが、こちらから。厚生年金については長い期間加入し、給与、賞与や手当額が高いほど(その上限はあるものの)老齢年金の額は比例して上がります。
企業で雇用され、週20時間以上、88,000円/月働く条件の方は社会保険(厚生年金+健康保険のこと)の対象になります。基本的に70歳までの間は厚生年金に加入していれば、その分厚生年金の金額は増やせます。
定年前から勤務している会社員の方が継続勤務となるケースでも、例えば長年自営をされていた方があるタイミングで事業をたたみ、上記の基準以上の条件で会社勤めとなったケースでも年金額は増えます。しかも厚生年金保険料は会社が半額負担しているのがありがたい。
厚生年金の加入を重視して働く場合は、いわゆるスポットワーク的な働き方よりも加入要件を満たすような働き方(例えば1日7時間勤務の場合、週3日程度で、時給1050円以上のお仕事)を意識されることをお勧めします。
ついでながら、あまり高給取りな方ですと、給与と年金額の合計額が基準額を超えると65歳以降の老齢年金の支払額の調整があるかもしれませんが、その基準額も少しづつ上がってきています。そちらは別途ご案内いたします。
方法2:国民年金の任意加入
60歳で定年退職された後、企業にはお勤めしない方、厚生年金の加入が適用されない条件で働く方、個人で何かお仕事をされる方については国民年金の任意加入という方法があります。
基本的に国民年金は20歳‐60歳の40年(480月)を全て保険料を納付して、初めて満額の国民年金をもらえますが、以下のような方は60歳を超えても国民年金の任意加入の対象となります。
国民年金の任意加入の対象者
・60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合
・40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合
・海外に居住する日本人(20歳以上65歳未満の方)
・年金受給資格期間が足りない65歳以上70歳未満の方
そのため、20歳-60歳の40年間、1か月も漏らすことなくきっちり納めた方は既に老齢基礎年金が満額受給できるため、年金額を増やしたくても国民年金の任意加入の対象者とはなれません。そのような方は私的年金の方で増やしましょう。私的年金についてはまた別の機会にご案内します。
現在50歳前後のシングル会社員の方が考えられるケースですと・・
・1991年4月以降に20歳を超えた大学生時代に国民年金の未納があった
・転職の合間の期間に短期間国民年金の未納があった
・20-60歳の間にワーキングホリデーや留学で海外に住んでいたことがある(会社の海外赴任は除く)
などのケースで480月(40年)の納付済期間が無いため老齢基礎年金が満額にならない方が該当します。
では、実際に任意加入の手続きが出来る条件などをご案内いたします。
国民年金の任意加入手続きが出来る人
国民年金の任意加入は、以下のような方が加入手続きができます。
① 日本国内に住所を有する 60 歳以上 65 歳未満の方
② 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
③ 20 歳以上 60 歳未満までの保険料の納付月数が 480 月(40 年)未満の方
④ 厚生年金保険に加入していない方
上記に該当するような、今までの会社勤めでそれなりの期間は厚生年金に加入しているものの、国民年金の納付月数が480月を満たしていない人が、定年などで65歳より前に退社をされるタイミングで任意加入を検討される方がいいかもしれません。
あくまでも「任意加入」ですので、特に加入は強制ではないです。国民年金が満額貰えない状態のままなだけです。
では、任意加入しようとなった場合は、住民票のある市(区)役所の国民年金窓口に書類を提出し、国民年金保険料を納付します。
任意加入の保険料も国民年金保険料と同額です。(2025年度は17,510円/月、毎年変わります。)その未納の期間分を任意加入で納めて保険料の納付月数を上限の480月まで増やす事で、65歳以降の老齢年金額が増額出来ます。
また、支払った国民年金保険料は社会保険料控除で所得控除が受けられることで、所得税の額も減るというメリットもあります。
任意加入にプラスして付加年金
付加年金は20歳‐60歳に国民年金に加入している間にプラスで加入できる制度ですが、地味にコスパ良しです。
付加保険料は400円/月ですが、年金額は200円/月です。もちろん支払った月数分貰えます。例えば40年(480月)付加保険料を払い続けていれば保険料は400円×480月=192,000円。貰える年金額は200円×480月=96,000円。つまりたった2年で元が取れる上に一生貰えるのです。
本当にささやかな金額ですが、支払った保険料(年間だと400円×12か月=4,800円)は社会保険料控除も適用されます。
自分が国民年金の任意加入をするときは、付加年金もつけようかとも考えております。
付加年金と合わせて国民年金基金やiDeCoなどの私的年金もありますが、そちらは別の機会にご案内いたします。
また納付を増やすと同時にもう一つの公的年金を増やす方法、「繰り下げ支給を選択する」もご検討くださいませ。