前回は「公的年金は実は保険」という内容でご案内しましたが、ご自身の年金が気になり始めたら、誕生月に届く「ねんきん定期便」をぜひ活用しましょう。特に50歳以降に届く内容は、老後の収入を具体的に把握するための重要な手がかりです。
50代のねんきん定期便の特徴
ねんきん定期便は50歳以上になると「60歳まで今の条件で加入し続けた場合」の年金見込み額が記載され、老後の収入が現実的な金額として示されます。58歳までは葉書、59歳は封書で届きます。
また、ねんきんネットにアクセスすればいつでも加入記録と受給見込額を参照できます。
確認すべき4つのポイント
ねんきん定期便の葉書が手元に届いたら、以下の4点をご確認ください。
- 老齢年金の見込額
月額ベースに直すことで、日々の生活にどの程度貢献できるかが見えてきます。特に独身世帯では、これが生活の中心収入となる可能性が高いため、しっかり把握しておきましょう。 - 最近の加入状況と加入期間
加入期間が120月(10年)を超えているかをまず確認。直近13ヶ月分の標準報酬月額も要チェック。リモート勤務で交通費の支払いががくなっている、あるいは役職定年による給与変動が標準報酬月額に反映されているか確認してください。 - 保険料の納付累計額
前年と比べて保険料額が増えているか確認します。変動がなければ、記録漏れの可能性も。気づいた時点で「ねんきんネット」または年金事務所に確認を。 - 年金加入履歴
過去の転職・学生時代・国民年金加入期間などに漏れがないかをチェック。特に昔は厚生年金と国民年金の番号が別々だったため、記録統合がされていない可能性があります。
参考リンク:「ねんきん定期便」(葉書)の見方(50歳以上の方)(日本年金機構)
ねんきんネットで試算も可能です
ねんきん定期便は、現状の給与が60歳まで継続した場合の見込み額を計算しています。
例えば役職定年での給与減額、あるいは定年の前に転職や独立を予定している場合、逆に60歳を超えても継続して勤務する場合などは定期便の見込み額と実際が大きく異なる可能性があります。
「ねんきんネット」を活用すれば、収入変動などを加味したシミュレーションも可能です。
参考:ねんきんネット(日本年金機構)
記録に誤りがあった場合の対処法
もしも記録に誤りが見つかった場合は、早めに年金事務所へ相談して調査しましょう。
過去の年金手帳や勤務記録、昔の給与明細などが証拠になります。手続きが煩雑に思えるかもしれませんが、老後に確実な収入を得るためには欠かせないアクションです。
参考:年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合(日本年金機構)
公的年金以外の収入も要確認
ねんきん定期便の金額は公的年金のみ。他にも会社からの退職金や企業年金(DC・DBなど)を加えたトータルの収入見込みを把握しておくことが大切です。
勤務先の人事部に退職金の制度内容や試算方法を確認してみましょう。年齢層が若い方ですと”もしや転職するつもりでは・・?”といった疑いをもたれる可能性もありますが、さすがに”定年後の生活設計のために必要”と伝えれば丁寧に教えてくれると思います。
ねんきん定期便は老後準備の起点に
毎年届く、ねんきん定期便は老後資金の計画を立てる絶好のチャンスです。「見るだけ」で終わらせず、記録を確認→行動(例:記録の訂正、あと〇年勤務とした場合の金額シミュレーション、会社の退職金や年金の再計算)という流れを意識することで、将来の定期的な収入に見通しがつき、安心につながります。