「50代のうちに、もっと定年後の人生設計をしておけばよかった」
これは、President Onlineの記事(2020/7/27)で紹介された、1万人インタビューにおける50代の“後悔”第1位です。
この記事を読んだとき、「これは自分にも当てはまるなぁ」と思いました。2位以下の”後悔”もとても他人事とは思えない内容です。
日々の仕事に追われ、老後のことは「また今度」と先延ばしにしていませんか?
ライフプイベントが少なめなシングル会社員にも間違いなくやってくる区切りの年、60歳が近づくほど時間の余裕はなくなります。
そこで今回は、「後悔しない50代」を過ごすための【棚卸し術】をご紹介します。連休など、まとまった時間があるタイミングでお金とキャリアを“見える化”して、自分らしい老後に備える第一歩にしてみてください。
貯蓄額・資産の洗い出し
まずは現在の資産をすべてリスト化しましょう。
- 銀行口座、定期預金、投資信託、株式など
- 保険(生命保険、医療保険)の加入内容と満期・解約返戻金
- 不動産やその他資産(持ち家、車、貴金属など)
Excelやノートにまとめておくだけでも、「思っていたよりある/ない」が明確になります。資産配分(現金・投資・不動産など)のバランスを見るのも重要です。
また、不要な保険契約や、投資に回しても良い貯蓄などが見えてくるかもしれません。
会社の退職金・年金制度の確認
会社員として働いてきた方なら、企業独自の退職金制度や年金制度に加入している可能性があります。まずは会社の制度を確認してみましょう。
- 就業規則を確認して「退職金の支給条件」「計算方法」をチェック
- 確定給付年金、確定拠出年金(DC)の有無
- 退職金制度や確定給付、確定拠出年金がある場合は目安額を計算
- 定年後の再雇用制度や、定年延長制度の内容をチェック
会社によって差が大きい部分なので、何となくではなく、規程などで明確に把握しておくのがおすすめです。
退職金規程については社内イントラなどで検索ができるかと思いますが、見当たらない場合は人事に問い合わせをしてみましょう。
通常の自己退職の場合は、転職活動をしているのではないかと疑われそうで聞きづらいですが、定年退職の場合は「老後のプランを検討するため」と理由が言いやすいです。
「ねんきんネット」で年金見込みを確認
公的年金については、まず「年金定期便」で60歳まで加入した場合、65歳から受給できる金額の見込みは書いてありますが、例えば58歳で”自分定年”をしようかと思った場合などは、「ねんきんネット」で将来の受取額を確認しましょう。
- 年金定期便の情報をもとにログイン
- 60歳、65歳、70歳受給のシミュレーションが可能
- 60歳より前に会社を退職した場合などのシミュレーションもできます。
この金額を見ると、老後の生活費とのギャップも見えてきます。
自分のキャリア・価値観の棚卸し
これまでの職歴を振り返ることは、今後の働き方やリタイア後の活動にもつながります。
- どんな仕事をしてきたか。どこにやりがいを感じたか
- 得意/不得意なこと
- 今後やってみたい仕事・活動、住みたい場所(都市、田舎、海外など)
A4用紙1枚や、付箋1枚につき1つに書き出す方法でかまいません。思いついたことを自由に書き出してみると、自分の内面が見えてきます。
「どんな暮らしをしたいか」をイメージする
大事なのは、「何歳まで働きたいか」「どんな生活を送りたいか」というイメージを持つことです。1-4の情報を元に、定年後の暮らしをイメージします。
- 会社勤めはいつまで続けるか(65歳定年の会社でも、もう少し早めに”自分定年”をしたいなど)
- リタイア後の働き方(フリーランス、趣味、ボランティアなど)
- 暮らしたい場所や環境(住み替え、移住、コンパクトな暮らし)
イメージは1つに絞らなくてもOKです。複数のパターンがあるほうが、選択肢が広がります。
まとめ:「ギャップを知ること」が大事
年金や退職金の額、資産の状況、やりたいこととの間に「ギャップ」があることも当然です。でも、それを知っているかどうかで、10年後の安心感はまったく違います。
独身の方は、制約が少なめで自分で決められる自由があることが、最大のメリットです。
例えば将来の親の介護。制約ができてしまい理想の生活イメージとのギャップがあっても、具体的にどのように対策すればイメージに近づけるのかを、前もって情報収集することで”こんなはずじゃなかった”といった後悔を少しでも避けられます。
連休やお盆、正月など、まとめたお休みがあるタイミングで、未来の自分のために少しだけ時間を使ってみませんか?
今ここで、「どんな人生を送りたいか」を改めて考えることが、後悔しない50代の第一歩です。