定年前後のマネープラン

老後資金、何で準備する?私的年金・貯蓄・投資の違いと使い分け

以前に私的年金についてご紹介しましたが、老後資金の準備には「貯蓄」や「投資」も欠かせません。今回はこの3つの違いを明確にしながら、50代独身会社員の立場から見た実践的な使い分けの方法をご紹介します。

まずは概要とメリットデメリットの整理

私的年金

私的年金は、公的年金に上乗せして老後の生活を支えるための制度で個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)などが含まれます。これらは定期的に積み立てを行い、将来の受け取り額を確保するものです。

私的年金は、老後の安定した収入を確保するための手段として利用されます。

メリット:掛金は税額控除の対象となり、運用益は非課税になるなど、税金の扱いがお得
デメリット:加入年齢、支払開始年齢等の手順など、ルールが厳しい

貯蓄

もっとも一般的な「貯蓄」は、銀行の預金口座などにお金を預けて、利息を得る方法です。

貯蓄はリスクが低く、元本が保証されるため、安全性が高いです。しかし、利息が低いため、大きなリターンは期待できません。貯蓄は、短期的な資金の確保や緊急時の備えとして利用されます。

メリット:比較的すぐに資金が使え、基本的に元本が保障される
デメリット:利子に税金がかかる、元本保障はされるがリターンは少ないインフレによる隠れた資産価値減少がある

投資

投資は、株式や債券、不動産などに資金を投入し、リターンを得る方法です。

投資はリスクが高いですが、その分リターンも大きくなる可能性があります。投資は、長期的な資産形成や資産の増加を目指すために利用されます。投資には、リスク管理や市場の動向を理解することが重要です。

メリット:リターンが大きい商品もある。現金化に少し時間は要する商品はあるものの、比較的すぐに資金が使える
デメリット:状況によっては大きく元本を失う可能性がある。運用益や所有に税金がかかる(NISA対象の物を除く)

私的年金と貯蓄、投資の最大の違いは”目減り感”

私的年金、貯蓄、投資はいずれも手持ちの資金を契約に基づいて銀行や証券会社、保険会社に預けるものですが、定年が近い世代にとって一番違うポイントは”目減り感”です。
私的年金は契約に基づいて一定の金額が入金されますが、貯蓄、投資は使う毎に減っていきます。

もちろん世に言う”4%ルール”など、運用しつつ取り崩していけば元本は守られるという説はありますが、年を重ねてこれをきっちり守って崩していくのはなかなかのメンタルと高齢になってからの将来の認知機能が必要なのではと思っております。

特に株関係は数十年に一度は大幅な株価下落はありえます。私もリーマンショック、パンデミックで、株価下落を経験しました。

若いうちなら”そのうち株価も持ち直すでしょう”と思えますが、年齢を重ねてからはショックも大きそうなので、安全性の高い物に切り替える判断も必要そうです。

50代独身会社員は今からどう対策する?

私的年金

50代から新たに個人年金に加入する場合、短期間で払い込みが完了する商品や、一時払いの個人年金保険が適しています。

外貨建て個人年金は為替リスクが存在します。海外でドルなど使う機会のある方は、ドルで受け取るのも良いと思いますが、日本円ベースで生活され、為替リスクを取りたくない場合は利回りが比較的微妙でも円建ての方を選びましょう。

また掛金、運用益に税制優遇があるiDeCoの加入を検討するのも良いかもしれません。
なおiDeCoは通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受け取れる年齢は65歳から繰り下がります。

また会社によっては企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者が、企業が拠出する掛金(事業主掛金)に上乗せして掛金を拠出すマッチング拠出の制度があります。そちらを利用しても掛金は全額所得控除、運用益は非課税なのでお得です。

貯蓄

貯蓄は、リスクが低く元本が保証されるため、とにかく安全性が高いです。50代の独身会社員でなくても、緊急時の備えとして一定額の貯蓄を持つことが重要です。一つの目安ですが、生活費の6ヶ月分程度など基準に準備しておくと良いと思います。

ついでながら、仕組預金など条件が難しいものは貯蓄というより投資のジャンルで考えた方が良いと思います。

投資

投資は、リターンを得るための手段ですが、リスクも伴います。個人的にはかなり投資にはビビりで、株価が大幅下落の時、損切りができず長期間放置するタイプです。
(忘れた頃に金額が戻ったのを見て、”普通預金よりマシだった”と言い聞かせています。)

ついでながら株の信用取引、FXや暗号資産は投資というよりはバクチに近いと思っています。

今から投資を始めようと思った場合、リスクを抑えつつリターンを狙うために、分散投資をお勧めします。分散するのは時間と投資対象となります。

時間の分散とは、一度にまとまった金額を投資するのではなく、例えば投資信託などを毎月一定額を投資することで、リスクを分散しながら資産を増やす方法です。もしも興味ある投資信託などがNISA対象の場合はNISA口座を作り活用すると、税制優遇も受けられます。

投資対象の分散ですが、例えば投資信託でも対象となっている国を先進国と日本、新興国に分けたり、株式が主なタイプ、債券が主なタイプなどを分けることを指します。

ちなみに投資信託で最近最も人気がある全世界型(オルカンなどと呼ばれたりします)は内訳をみると米国企業の割合が高いので、全世界型と米国対象の投資信託(例えばS&P500)をそれぞれ購入した場合、実のところ割と似た投資先になっている可能性があります。

ついでながら、ほんの少しでいいので金・プラチナなどの積立をしておくのもお勧めです。
パンデミックや紛争勃発など、様々な理由で世間が騒がしくなった際に値上がりの可能性があるのは金です。
株価などがだだ下がりの時に、心のお守り的存在になり分散投資して良かったと思います。

これらを組み合わせることで、リスクを分散しながら老後の資産形成を進めることができます。注:投資は余裕資金で、自己判断でお願いします。

資産の効果的な使い方は研究中

私はリタイア後は「公的年金+何種類かの私的年金」で日々の日常生活費を賄い、旅行や家電、住居費、介護費用など大きな出費の際には投資、貯蓄から出したいと考えておりますが、その配分なども要検討です。

その一方で、資産の使い方は個人的にも研究の最中です。お金は”生き金”として適切な時期に使い、様々な経験を得ること、世の中の役に立てることで本当の価値があるものだと思っています。その一方で減ることへの恐怖についても対策を取るつもりです。

使うのが勿体無くて、資産ばかり残してこの世を去るのを回避するヒントを探りつつ、皆さまに参考となる情報をお伝えできればと思っております。

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FPとうか
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・社会保険労務士試験に合格 TOEIC915点取得 会社員として働きながら、お金や働き方に関する情報を発信中。「人生後半の不安をなくすお金と制度の知識」をモットーに、50代シングル会社員の方々に向けて、老後資金・年金・孤独対策・終活・働き方の情報をお届けしています。 生命保険会社や外資系IT企業での人事業務、社会保険労務士事務所での勤務を通じた実体験と、資格を活かした「具体的で実践しやすい情報」をお届けします。

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