FPとうか|1級FP技能士・社労士試験合格
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。

この記事では、定年退職後に「失業給付(雇用保険の基本手当)」の受給を考えている50代シングル会社員の方へ向けて、特に重要な3つのポイントをわかりやすくまとめました。

会社退職後の収入の“つなぎ”として大切な制度ですが、仕組みを誤解すると数十万円単位の損失につながることもあります。この記事では、制度の正確な情報に基づき、安心して受給するための基礎知識をお伝えします。

はじめに──この記事の結論

失業給付のポイントは次の3つです。

  • ①「働く意思と能力」がないと受給できない
  • ②受給は離職日の翌日から“1年以内”に完了させる必要がある
  • ③65歳前の退職は有利だが、早まって退職するのは危険

どれも「知らなかった」で済まない大事な点です。記事内で順番に解説していきます。

読者のお悩み整理

  • 退職後の収入が心配…失業給付でどのくらい補える?
  • 65歳前に辞めると有利と聞いたけど本当?
  • “働く意思”ってどう判断されるの?
  • 健康に不安があっても受給できる?
  • 旅行や休養期間が長い場合はどうなる?

こうした疑問を抱える50代シングル会社員の方は多く、定年前の相談でも頻出のテーマです。

1. 「働く意思と能力」が求められる

失業給付(基本手当)は離職すれば自動的にもらえる制度ではありません。厚生労働省では以下の条件を満たすことが必要とされています。

  • 就職しようとする積極的な意思がある
  • いつでも働ける健康状態・環境がある
  • 仕事がなく、求職活動を行っている

たとえば、

  • 「しばらく休みたいので求職活動はしません」→受給できない
  • 「体力に不安があるので、通いやすい職場を探したい」→働く意思ありと判断

体調が万全でなくても、「働く意思がある」ことを具体的に伝えることが大切です。

2. 受給は“離職日の翌日から1年以内”に完了が原則

失業給付には受給期間(1年以内)があり、この期間を過ぎると残った日数は受給できません

具体例

・被保険者期間20年以上 → 最大150日受給可能
・ただし、待期7日+給付制限2か月+ハローワーク処理期間も必要で、実質半年以上を要します。

このため、申請が遅れることは致命的。
退職後に長期旅行・療養を検討している方は、退職日から60日以内の「延長手続き」も選択肢になります。

3. 65歳直前の退職は有利だが、早まると損をする

雇用保険の仕組み上、65歳未満の退職者は給付日数が多く、受給額も大きい傾向があります。

モデルケース(日額上限の場合)

年齢区分日額日数合計額
65歳未満基本手当7,623円150日約114万円
65歳以上高年齢求職者給付金6,945円50日約34万円

退職日が1日違うだけで、その差は約80万円にもなる場合があります。
※上記日額上限は令和7年8月時点の金額

ただし──「早まって退職」は危険

  • 退職金の計算上、65歳まで在籍した方が有利なケースがある
  • ボーナスが対象外になることがある
  • 厚生年金加入期間は“1か月”の違いで将来の年金額が変わる

失業給付の金額の損得だけでは判断せず、お勤めの会社の「退職金・賞与・年金」を総合比較する必要があります。

FPとうかの解説:失業給付は“生活設計の基礎”

退職後は、収入の柱が減り、家計の流れが変わります。失業給付は「定年直後の生活の立て直し」に役立つ制度です。

しかし、制度の理解不足で損をするケースも多いため、以下の点を整理しておくと安心です。

  • 手当の開始時期・終了時期をスケジュールに落とす
  • 年金受給開始年齢との重複を確認する
  • 働く意思の伝え方を事前に考えておく
  • 長期旅行や療養の予定があれば、延長申請を検討

よくある落とし穴

  • 「書類が届いてから考えよう」と放置して受給期限を逃す
  • 申請が遅れ、給付制限期間が年内をまたいで税負担に影響
  • “短期バイト”をするときの報告義務を知らず減額される
  • 65歳直前の退職と再雇用ルールを誤認し損をする

失業給付は早めの準備がもっとも有効な対策です。

まとめ:3つのポイントを押さえれば安心

定年後の生活設計に大きく関わる「失業給付」。特に50代シングル会社員にとっては重要な制度です。

  • 働く意思と能力を明確に伝える
  • 受給は1年以内に完了させる
  • 65歳前後の給付差を理解し総合判断する

迷ったら、勤務先の人事担当者やハローワーク、または専門家に相談することでスムーズに進められます。

次の記事では、退職後の学び直しに役立つ「教育訓練給付金」について解説します。

この記事を書いた人

FPとうか
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/社会保険労務士試験合格者。
50代シングル会社員向けに、老後資金・働き方・学び直しなど「これからの人生を整える情報」を発信しています。

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