FPとうか|1級FP技能士・社労士試験合格
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。

シングルの定年前後は、ひとりだからこそ迷いやすいもの。
「シングル60ガイド」は、定年前後によくある疑問について、
100の質問と回答で整理したQ&Aシリーズです。
「正解を決める」のではなく、「自分で判断するための考え方」を大切に、
FPとうかの視点でわかりやすくまとめています。

【シングル60ガイド|q065】
定年後の住まいについて、いつ・何を基準に考える?

【結論ひとこと】
医療・交通・生活利便性を軸に、体力や判断力に余裕があるうちに判断します。

マナリス

定年後の住まいは、今は特に困っていないし、退職してからゆっくり考えればいいのかな。

とうぴよ

すぐに住み替えを決めなくても大丈夫だよ。ただ、定年後の暮らしのイメージは、現役のうちに確認しておいた方がいいと思う。

マナリス

どうして現役のうちに確認した方がいいの?

とうぴよ

賃貸契約や住宅ローンでは、会社員の方が有利だからね。早いうちに選択肢を調べておくと、判断しやすくなるよ。

なぜ定年後の住まいを早めに考えるの?

定年後の住まいについて、今の家に大きな不満がなければ、「必要になってから考えればよい」と思うかもしれません。

実際に、住み慣れた家や地域で暮らし続けることには、安心感があります。

近所の様子が分かり、通い慣れた病院や店があり、これまでの人間関係も残っています。

一方で、定年後は収入、生活時間帯が変化します。

現役時代には気にならなかった、駅までの距離や階段、買い物の不便さが、年齢を重ねるにつれて負担になることもあります。

また、前回ご案内した定年後の社会参加も、居住地によってできる事が大きく変わってきます。

体力や判断力に余裕があるうちの方が、複数の選択肢を比較し、自分の希望に合った住まいを選びやすくなります。

特にシングルの場合、住む場所の選択は比較的自由な反面、判断や手続きを一人で行うことが多くなります。

将来の住まいについて早めに情報を集めておくことで、定年後の”望む暮らし方”に近づくことができます。

参考:令和6年版高齢社会白書(内閣府)
※65歳以上の持ち家率はを8割越えていて、一軒家の割合が約76%

定年後の住まいの主な選択肢

今の住まいで暮らし続ける

現在の住まいに大きな問題がなければ、そのまま暮らし続けることが基本的な選択肢になります。

住み替えには費用と手間がかかるため、慣れた場所で暮らし続けるメリットは小さくありません。

メリット

  • 住み慣れた環境や人間関係を維持できる
  • 引っ越しや新しい契約の負担がない
  • 地域の病院や店などを把握している

注意点

  • 階段や段差が将来の負担にならないか確認する
  • 修繕費、管理費、固定資産税などの負担を見込む
  • 車を使わなくても生活できるか考える

今は車で買い物や通院ができていても、将来も同じ生活を続けられるとは限りません。

徒歩や公共交通機関で病院、スーパーなどへ行けるかを確認しておきましょう。

住み替えをする

定年を機に、生活を見直して住み替える考え方もあります。

戸建てから管理しやすいマンションへ移る、郊外から街なかへ移る、広い家から小さな家へ移るといった選択肢です。

メリット

  • 通院や買い物の負担を軽くできる
  • 車に頼らない生活をしやすくなる
  • 住まいの管理や掃除の負担を減らせることがある

注意点

  • 引っ越し費用や初期費用がかかる
  • 新居に合わせ、家財の整理が必要になりそう
  • 住み慣れた地域や人間関係から離れることがある

住み替えれば、必ず生活費が下がるとは限りません。
立地によっては家賃や管理費が高くなる場合があります。

現在の住居費と、住み替え後に必要となる家賃、管理費、交通費などをまとめて比べることが大切です。

地方や海外での暮らしを考える

定年後は、自然の多い地域で暮らしたい、海外で生活してみたい、と考える人もいます。
住む場所の選択肢が広がるのは、定年後の楽しみの一つです。

メリット

  • 希望していた環境で暮らせる可能性がある
  • 地域によっては住居費を抑えられることがある
  • 新しい生活や人間関係を作るきっかけになる

注意点

  • 医療機関や公共交通が限られる地域もある
  • 実際に暮らさないと地域事情が分からない
  • 海外では医療、保険、在留資格、為替なども確認が必要になる

地方暮らしでは、車がないと買い物や通院が難しいことがあります。

海外居住では、言葉や文化の違いに加え、医療を受ける方法や帰国時の住まいも考えておく必要があります。

関心がある場合は、現役のうちに何度か訪れたり、短期滞在を試したりして、生活を具体的に確認するとよいでしょう。

実行に移すのは、体力のある早めの時期の方が良さそうです。

住まい選びで確認したい基準

医療へのアクセス

現在は健康であっても、将来を考えると、医療機関へのアクセスは重要な判断材料です。

大きな病院が近くにあるか、日常的に通える内科、歯科、眼科などがあるかも確認しましょう。

徒歩で通えるか、バスや電車を使えるか、タクシーを利用した場合はどの程度の費用がかかるかも見ておきたいところです。

シングル60ガイド|q056
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自家用車がなくても生活できるか

現役時代は車の運転に問題がなくても、いつかは運転を控える時期が来ます。

そのため、車を使わなくても生活できる場所かを考えておく必要があります。

  • 駅やバス停まで無理なく歩けるか
  • バスや電車の本数は十分か
  • 坂道や階段が多くないか
  • タクシーや自治体の移動支援を利用できるか

物件を見る際、駅、スーパー、病院まで車を使わず移動してみると判断しやすくなります。

自治体によっては自動運転バスなど実証実験をしている場所もあります。

将来の計画も検討材料とすると良さそうです。

日常生活を一人で続けやすいか

シングルの住まいでは、「一人でも日常生活を回しやすいか」という視点も大切です。

スーパー、コンビニ、金融機関、郵便局、薬局などが近くにあると、日常の負担を減らせます。

宅配やネットスーパーを利用できる地域か、家事支援や見守りサービスがあるかも確認しておくとよいでしょう。

また、防犯面や災害リスクも重要です。

夜間の人通り、建物の管理状況、災害時の避難場所、洪水や土砂災害、害虫、害獣の出没などの危険性も確認しておきましょう。

人とのつながりを保てるか

馴染みのない場所に住まいを決めると、移った後に孤独を感じることがあります。

近くに知人や親族がいるか、趣味や地域活動へ参加しやすいか、気軽に立ち寄れる場所があるかも、暮らしやすさに影響します。

地域の雰囲気や、人との距離感が自分に合うかを、短期滞在などで確かめておくと安心です。

シングル考えておきたい住居の3つのポイント

ポイント①:会社員のうちに住み替えの選択肢を調べる

賃貸住宅の入居審査や住宅ローンでは、収入、勤務先、勤続年数、保証人や保証会社の利用などを確認されることがあります。

そのため、定年後よりも、会社員として安定した収入があるうちの方が契約を進めやすい場合があります。

もちろん、退職後でも賃貸契約はできますが、ハードルが上がるのも事実です。

十分な資産があっても、年齢や収入形態、緊急連絡先などを理由に、希望する物件の契約が難しくなるケースは考えられます。

将来住み替える可能性があるなら、現役のうちに不動産会社へ相談し、必要となる条件を確認しておくとよいでしょう。

ポイント②:持ち家か賃貸かだけで判断しない

老後の住まいについて、「持ち家なら安心」「賃貸なら身軽」と単純に決めることはできません。

持ち家には、住み続けやすい安心感がある一方で、修繕費や固定資産税がかかります。

賃貸には、建物の修繕を自分で行わなくてよい利点がある一方で、家賃を払い続ける必要があります。

大切なのは、所有形態だけではなく、その住まいで一人でも暮らし続けやすいかどうかです。

住居費、医療、交通、生活利便性、管理の負担をまとめて比較しましょう。

ポイント③:荷物や家の整理も住み替えの一部と考える

長く暮らした家には、家具、衣類、書類、思い出の品などが増えています。

住み替えを決めてから短期間ですべてを整理するのは、体力的にも精神的にも大きな負担です。

すぐに引っ越す予定がなくても、使っていない物を少しずつ減らしておくと、将来の選択肢を広げやすくなります。

家を小さくする場合に、何を持っていきたいかを考えることは、自分がどのような暮らしを望んでいるかを確認することにもつながります。

  • 車を使わなくなっても、今の住まいから買い物や通院を続けられそうですか?
  • 住み替えるなら、会社員のうちに確認しておきたい契約条件や地域はありますか?

よくある誤解・注意点

誤解①:資産があれば、どの賃貸住宅でも借りられる

賃貸住宅の審査では、資産額だけでなく、毎月の収入、年齢、保証会社の審査、緊急連絡先などを確認されることがあります。

希望する物件が必ず借りられるとは限らないため、住み替えの可能性がある場合は、早めに情報を集めておくことが大切です。

誤解②:田舎や海外なら生活費を抑えられる

家賃や住宅価格が低い地域でも、車の維持費、通院の交通費、住宅の修繕費などがかかることがあります。

海外では、まず医療費や保険は日本より高いと思った方が良いです。
安全な住宅地の家賃相場が高い、為替の変動など、想定より生活費が高くなる要素がいくつもあります。

安全を確保できる環境、交通、医療、買い物、帰省や帰国にかかる費用まで含めて考えましょう。

※この記事では制度の細かい例外までは扱いません。
判断の軸をつかむことを目的としています。

まとめ

【今回のポイント】
医療・交通・生活利便性を軸に、体力や判断力に余裕があるうちに判断します。

定年後の住まいは、退職した時点ですぐに変えなければならないものではありません。

現在の住まいで安心して暮らせるのであれば、住み慣れた地域に残ることも十分な選択肢です。

ただし、医療機関への通いやすさ、将来車を運転しない暮らしは可能か、買い物のしやすさ、住まいを管理する負担などは、早めに確認しておきましょう。

👉次に読むQ&A: 066 定年後の生活、実家に戻る・地方移住はあり?

住み替えの候補として、実家へ戻ることや地方へ移住することを考える人もいます。次の記事では、そのメリットと注意点を整理します。


この記事を書いた人
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1級FP技能士/社会保険労務士試験合格者。
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