退職金やDC・iDeCoの一時金、損しない受け取り方は?|シングル60ガイド
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。
シングルの定年前後は、ひとりだからこそ迷いやすいもの。
「シングル60ガイド」は、定年前後によくある疑問について、
100の質問と回答で整理したQ&Aシリーズです。
「正解を決める」のではなく、「自分で判断するための考え方」を大切に、
FPとうかの視点でわかりやすくまとめています。
退職金とiDeCoって、一緒に受け取った方がラクそうだけど…問題あるの?
手続き的にはシンプルだけど、税金の面ではもったいないこともあるよ。
え、どういうこと?
退職所得控除って一度に使うと上限があるから、もらう時期やもらい方を分けると、負担を減らせる可能性があるよ。
なぜ「受け取り方」で税金が変わるのか
退職金やDC、iDeCoは、“いくらもらうか”より“いつもらうか”
”どうもらうか”で税金が変わります。
各個人の退職金額や加入状況によって異なりますが、
受取時期や方法を分けることで、税負担を抑えられるケースがあります。
前回はiDeCoを一時金、退職金どちらで受け取った方が良いか?という質問に対し、
他の退職金、年金制度と総合して検討することをお勧めしました。
今回は退職金やiDeCo、企業型DCなどを
「一時金」で貰う際の検討ポイントになります。
退職一時金は、いずれも「退職所得」として扱われ、税制上の優遇があります。
このときカギになるのが「退職所得控除」です。
これは長く働いた人ほど控除額が大きくなる仕組みで、
一定額までは税金がかからない、または大きく軽減されます。
ただし、退職所得控除は「制度個別に適用されるものではない」ため、
・退職金
・iDeCoやDCの一時金
を同じタイミングで受け取ると、控除枠をまとめて使うことになり、
結果として一部に税金がかかりやすくなります。
特に
・まとまった退職金がある
・iDeCoも積み上がっている
といったケースでは、「知らずに同時受取→税金が増える」
ということも起こりやすくなります。
同時に受け取る場合の特徴
同時に受け取る場合
メリット
・手続きがシンプルで分かりやすい
・一度に資金を確保できる
注意点
・退職所得控除を一度に使うため、超えた部分に税金がかかりやすい
・結果として、税負担が大きくなる可能性がある
退職一時金、iDeCoやDCの一時金の総額が多い場合は
退職所得控除は決まった分しか使えないので、税金が高くなります。
まずは、ご自身の退職一時金額と退職所得控除の確認が必要となります。
受取時期を分ける場合の特徴
受取時期を分ける場合
メリット
・退職所得控除を分散して使える可能性がある
・トータルの税負担を抑えやすい
注意点
・受取時期の設計が必要(何年ずらすかなど)
・制度上のルール(勤続年数の通算など)を確認する必要がある
例:退職一時金は会社の規程で60歳の定年時に受取
DC、iDeCoの一時金受取は60歳~75歳までの任意の時期で受取
現在50代シングル会社員の場合、
上記例のように会社から退職一時金を先にもらい、
その後、どのようにDC、iDeCoの受取をしようか
迷われている方が多めだと思われます。
この例の場合、60歳定年までの期間分の退職控除を一度使うと
控除枠はもう使えません。
定年後もiDeCoの運用を続け、一時金の受取時期を相当先にずらすことで
控除を有利に使える可能性がありますが、
勤続年数の通算や重複制限のルールに注意が必要です。
一部を年金形式で受け取る場合
今回は「一時金、損しない受け取り方は?」のテーマですが、
一時金だけでなく、年金と組み合わせて負担を分散する考え方もあります。
メリット
・一時金の金額を抑えられるため、退職所得控除の枠に収まりやすい
・生活費として安定した収入になる
注意点
・公的年金と合算されるため、税負担が発生する可能性がある
・長期間にわたって課税対象となる
・社会保険料などの負担も増える可能性がある
年金受取する場合の検討ポイントについては、次回ご説明いたします。
50代シングル会社員が考えておきたいポイント
このテーマで重要なのは、「どれが一番得か」ではなく、
税金で有利なポイントを意識しつつも、
“どのもらい方が自分に合うか”です。
既に使い道が決まっていて、まとまった一時金が必要な場合には
税金の損得より必要なタイミングで受け取ることを
優先させる選択はもちろんアリです。
50代シングルの場合、
・退職後も再雇用で収入があるか?
・年金の受給開始を繰り下げる予定はあるか?
・老後資金に余裕があるかどうか?
といった条件によって、最適な受け取り方は変わります。
退職金は会社の決まりに沿った金額、支払い時期が決まっていますが
iDeCoやDCは、一定の範囲で受取時期や方法を調整できます。
例えば、
・退職金が大きい人 : DCやiDeCo一時金は後ろにずらす
・60歳以降は年収減となる人 : DCやiDeCoの一部を年金形式で貰う
といった調整が考えられます。
「税金だけ」でなく、
・収入のタイミング
・生活費の安定
も含めて考えることが大切です。
判断のヒント
- 退職金とiDeCoを同じ年に受け取る予定になっていないか?
- 数年ずらした場合、生活や資金繰りに無理はないか?
よくある誤解・注意点
誤解①:「とりあえず同時に受け取ればいい」という誤解
特に各制度トータルで一時金の金額が多い方の場合、
何も考えずに同時受取にすると、退職所得控除を活かしきれないことがあります。
少し時期を調整するだけで、税負担が変わる可能性があります。
誤解②:税金を意識して「とにかく後で受け取ればよい」という考え
税金は重要ですが、定年後の生活資金の流れも同じくらい大切です。
また、税金を意識するばかりにiDeCo一時金を
75歳ギリギリまで待ち続けてしまい、
受け取る頃は使う元気がなくなっている可能性があります。
自分なりの「お金の使いどき」を意識するという考え方もあります。
※この記事では制度の細かい例外までは扱いません。
判断の軸をつかむことを目的としています。
まとめ
会社の制度で決まっている退職金に対し、DCやiDeCoの一時金の受け取り方は、
事前に検討、調整できるポイントです。
今すぐすべてを決める必要はありませんが、
・一時金はいくら支払われる見込みか
・いつ受け取る予定か
・受け取り時期の退職所得控除はいくらか
を一度整理しておくだけで、選択肢は広がります。
まずは、「自分の退職金、DC、iDeCoの見込み額と時期」を
確認することから始めてみてください。
👉 次に読むQ&A: q022 iDeCoや企業年金を多く受け取ると、税金や社会保険料はどう変わる?
この記事を書いた人
FPとうか
1級FP技能士/社会保険労務士試験合格者。
50代シングル会社員向けに、老後資金・働き方・学び直しなど、
「これからの人生を整えるための情報」を発信しています。
●定年前後に知っておきたい「5つのポイント」はこちら






