FPとうか|1級FP技能士・社労士試験合格
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。

シングルの定年前後は、ひとりだからこそ迷いやすいもの。
「シングル60ガイド」は、定年前後によくある疑問について、
100の質問と回答で整理したQ&Aシリーズです。
「正解を決める」のではなく、「自分で判断するための考え方」を大切に、
FPとうかの視点でわかりやすくまとめています。

【今回の質問:シングル60ガイド| q015】
退職所得控除はいくら?仕組みと使い方を整理する

【結論ひとこと】
退職所得控除は勤続年数で決まり、長く働くほど税金がかかりにくくなります。

マナリス

退職金って税金がかなり引かれるのかな?

とうぴよ

実は退職金には『退職所得控除』という優遇があるんだ。

マナリス

そうなんだ。どのくらい控除されるの?

とうぴよ

勤続年数によって決まる仕組みで、長く働くほど税金がかかりにくくなるよ。

退職金には特別な税制がある

前回は退職金を一時金と年金のどちらで受け取るかという話題でしたが、
今回は一時金で受け取る場合にかかる税金のお話です。

退職金は、給与やボーナスとは税金の仕組みが異なります。

長く働いたことへの報酬という意味合いがあるため、
税負担を軽くする仕組みが設けられています。

その代表が一時金にかかる「退職所得控除」です。
退職金から、この「退職所得控除」を引いた額で税金の計算をします。

この制度により、退職金のすべてに税金がかかるわけではなく、
一定額までは税金がかからない仕組みになっています。

退職所得控除の計算方法

退職所得控除は、勤続年数が長いほど金額が大きいです。

次のように計算されます。

勤続20年以下の場合

40万円 × 勤続年数  ※ただし最低80万円

注)勤続年数が1年未満の場合は1年に切り上げます。
 (例:10年6ヶ月の場合→11年で計算)

勤続20年を超える場合

800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

計算例:勤続30年の方の場合

800万円 + 70万円 × (30年-20年)= 1500万円

この金額を退職所得控除として差し引くことができます。

この例の場合、退職金が

  • 1500万円までの場合: 税金がかからない
  • 1500万円を超える場合: 1500万円を超えた部分で所得税、住民税の計算をする

退職金の税金の計算イメージ

退職金の税金は、次の流れで計算されます。

  1. 退職金から退職所得控除を引く
  2. 残った金額を2分の1にする
  3. その金額に所得税・住民税がかかる

この「2分の1課税」という仕組みもあり、
退職金の税負担は比較的軽くなることが多いです。

計算例:勤続30年の方、退職一時金2000万円の場合

  1. 退職一時金 2000万円-退職所得控除 1500万円= 500万円
  2. 500万円×1/2=250万円
  3. 250万円に対し、所得税(+復興所得税)、住民税が引かれる

    所得税:(250万円×10%-97,500円)×102.1%=155,702円
    住民税:250万円×10%=250,000円
    合計405,702円が控除されます。

    この例の場合、手取りは約1,960万円程度となります。

参考リンク:退職所得の源泉徴収税額の速算表(国税庁)
※詳しい税率はこちらのリンクからご確認ください。

参考リンク:Keisan (生活の計算→退職金の税金)
※見込額の把握にお使いください。

もしも、会社の退職金が一時金も年金も選択できる場合、
退職金控除額をあまり超えないよう一時金額を設定して
残りは年金とする手段もあります。

税金を意識しつつ、それぞれの方の生活設計もありますので
総合して貰い方を判断しましょう。

50代シングル会社員向けの視点

退職金は、老後資金の中でも大きな金額になることが多いです。
シングルにとって大事なリタイア後の原資の一つです。

使い方は人それぞれですが、退職金は役立てる時期に
手取りを多めに貰えるよう工夫したいものです。

そのため、

  • 退職金の見込み額
  • 退職所得控除の金額
  • 税金の目安

を整理しておくと安心です。

  • 自分の勤続年数で退職所得控除はいくらになりますか?
  • 退職金を一時金で受け取る場合の税金を確認していますか?

税金の仕組みを理解しておくことで、退職金の使い方も考えやすくなります。

よくある誤解・注意点

誤解①:退職金には高い税金がかかる

退職所得控除と2分の1課税により、税負担は軽くなることが多いです。
勤続年数が長いほど有利です。

誤解②:税金は給与やボーナスと同じ計算方法

退職金は給与やボーナスとは異なる特別な税制が使われます。

また、給与、ボーナスと違って社会保険料は控除されない仕組みです。

※この記事では制度の細かい例外までは扱いません。
判断の軸をつかむことを目的としています。

まとめ

【今回のポイント】
退職所得控除は勤続年数で決まり、長く働くほど税金がかかりにくくなります。

退職金の税金は、給与やボーナスとは異なる特別な仕組みです。

まずは

  • 退職金の見込額
  • 会社での支払われ方(一時金?年金と選択できる?)
  • ご自身の勤続年数
  • 退職所得控除の金額

を整理してみましょう。

👉 次に読むQ&A: q016 DB(確定給付企業年金)とは?受け取り方の違いは?


この記事を書いた人
FPとうか
1級FP技能士/社会保険労務士試験合格者。
50代シングル会社員向けに、老後資金・働き方・学び直しなど、
「これからの人生を整えるための情報」を発信しています。

●定年前後に知っておきたい「5つのポイント」はこちら


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