老後の住居費、見落としやすいポイントは?|シングル60ガイド
主に50代シングル会社員の定年前後の“気になる不安”に寄り添い、
年金・暮らし・働き方・終活まで制度に基づき解説しています。
実務経験と資格に基づく、わかりやすい情報発信を心がけています。
シングルの定年前後は、ひとりだからこそ迷いやすいもの。
「シングル60ガイド」は、定年前後によくある疑問について、
100の質問と回答で整理したQ&Aシリーズです。
「正解を決める」のではなく、「自分で判断するための考え方」を大切に、
FPとうかの視点でわかりやすくまとめています。
老後の住居費は、住宅ローンや家賃、税金が払えるかを確認すれば大丈夫かな。
忘れがちな費用があるよ。持ち家でも税金や修繕費はかかるし、マンションなら管理費や修繕積立金もあるよ。
思ったより確認することが多そうだね。
定期的な支出と別に、突然必要になる支出に備えて、予備費を用意しておこう。
住宅の維持費用は見落としがち
前回は定年後に実家へ戻る、地方移住を考える時の注意点をお伝えしました。
老後の住居を考えるとき、多くの人が最初に確認するのは、住宅ローンや家賃ではないでしょうか。
持ち家で住宅ローンを完済していても、一生分の家賃相当額を確保していても、住居の維持は何かと費用がかかります。
持ち家(戸建)の場合:
・固定資産税
・地震・火災保険料
・屋根、外壁の塗装
・水回り、給湯器などの修繕費
持ち家(マンション)の場合:
・固定資産税
・地震・火災保険料
・管理費
・修繕積立金
・専有部分の修繕費
賃貸住宅の場合:
・管理費
・更新料
・地震・火災保険料
・保証会社の利用料
・住み替え費用
特に定年後のシングルの場合は、修繕や住み替えの判断、費用のやりくりを一人で行うことが多くなります。
定年後の住まいの費用は、「10年後、20年後も維持する」「高齢化に伴う追加設備」という視点が大切です。
持ち家で見落としやすい費用
持ち家は、戸建て、マンションいずれも
住宅ローン返済後も以下の費用は続くことは想定内だと思われますが、修繕・改修費用は見落としがちです。
戸建ては修繕時期を自分で判断する
戸建て住宅には、マンションのように毎月決まった修繕積立金がないため、必要な修繕費を自分で準備しなければなりません。
修繕が必要になりやすい箇所としては、次のようなものがあります。
- 屋根や外壁
- 給湯器やエアコン
- キッチン、浴室、トイレなどの水回り
- 雨どいやベランダ
- 玄関、窓、鍵などの防犯設備
- 庭、塀、門扉などの外構
同じ時期に複数の設備が故障したり、地震や台風被害などで、急にまとまった費用が必要になることもあります。
年齢や築年数に合わせた改修も必要になる
現在は問題なく暮らせていても、年齢を重ねると不便に感じる場所が出てくる可能性があります。
例えば、玄関や浴室の段差、急な階段、寒い脱衣所、手すりのない廊下などです。
将来、それらの改修が必要になることも考えられます。
古くなった設備を交換するだけでなく、安全に住み続けるための改修費も、住まいの予備費として考えておきましょう。
マンションで見落としやすい費用
管理費と修繕積立金は払い続ける
マンションでは、毎月の住宅ローンとは別に、管理費と修繕積立金を支払うのが一般的です。
管理費は、共用部分の清掃、設備の点検など、施設の日常的な管理に使われます。
修繕積立金は、外壁、屋上、配管、エレベーターなど、建物全体の大規模修繕に備えるための費用です。
住宅ローンを完済していても、マンションを所有している限り、こうした費用の負担は続きます。
管理費・修繕積立金は右肩上がりの傾向
マンションを選ぶとき、管理費や修繕積立金が低い物件を魅力的に感じることがあります。
しかし、昨今の物価や人件費高騰のため金額が引き上げられる可能性は高めです。
積立額が不足していれば、大規模修繕の際に一時金の負担や借入れが検討されることもあります。
マンションの管理組合の通知で、次のような内容を確認しましょう。
- 長期修繕計画
- 修繕積立金の残高
- 今後の値上げ予定
- 過去の大規模修繕の実施状況
- 管理費や修繕積立金の滞納状況
管理費や修繕積立金は今と同額とは限らず、将来上がると予想しておく方が現実的です。
専有部分の修理は自分で負担
マンションでは、建物の共用部分を管理組合が管理しますが、室内の設備は自前で修理する必要があります。
住戸内にある給湯器、キッチン、浴室、トイレ、床、壁などは、原則として自分で修理や交換を行う部分です。
年齢を重ねて、手すりなども取り付けが必要になるかもしれません。
修繕積立金とは別に、室内設備の交換に備える予備費は必要です。
賃貸住宅で見落としやすい費用
家賃以外の定期的な支出を確認
賃貸住宅では、建物全体の大規模修繕費を直接負担しないことが一般的です。
一方で、家賃以外に次のような費用がかかる場合があります。
- 管理費や共益費
- 契約更新料
- 火災保険料
- 保証会社の更新料
- 駐車場や駐輪場の利用料
いずれも値上げの可能性が高そうです。家賃だけでなく、毎月・毎年の負担を合計して確認しましょう。
将来の住み替え費用も考えておく
賃貸住宅では、建物の老朽化や家賃の変更、生活環境の変化などにより、将来住み替えが必要になる可能性があります。
住み替えには、敷金、礼金、仲介手数料、保証料、引っ越し代などがかかります。
荷物が多ければ、処分費用や一時保管費用が必要になることもあります。
今の家賃を払い続けられるかだけでなく、一度は住み替えがある想定で予備費を考えておくと安心です。
住居費に関する3つのポイント
ポイント①:住居費を「毎月・毎年・不定期」に分けて整理
住まいにかかる費用は、支払う時期によって三つに分けると整理しやすくなります。
毎月かかる費用
- 住宅ローンや家賃
- マンションの管理費や修繕積立金
- 駐車場代
毎年・数年ごとにかかる費用
- 固定資産税
- 火災保険や地震保険
- 賃貸住宅の更新料や保証会社の更新料
不定期にかかる費用
- 設備の故障や交換
- 屋根や外壁などの修繕
- 室内のリフォーム
- 住み替えや引っ越し
毎月の支出だけを見て「住居費は少ない」と判断せず、不定期の支出まで見越して準備することが大切です。
ポイント②:不定期にかかる費用を生活費と別で確保
給湯器やエアコンなどの故障は、時期を正確に予測できません。
故障してから生活費の口座で対応しようとすると、老後の家計が大きく乱れることがあります。
そのため、毎月の生活費とは別に、「住宅の修繕や住み替えに使うお金」を分けておく方法があります。
必要な金額は、建物の種類や築年数、設備の状態によって異なります。
いつ多額な負担が発生するかは不明ですが、今後10年ほどの修繕予定を確認しつつ、費用の大きそうなものから見積もって確保しておきましょう。
ポイント③:修繕の履歴と資料を整理する
持ち家の場合は、いつ、どこを修繕したかを記録しておくと、次に必要となる工事を考えやすくなります。
図面、保証書、点検結果、工事の見積書や領収書なども、まとめて保管しておきましょう。
将来、住まいを売却したり、修繕を業者へ依頼したりするときにも役立ちます。
【判断のヒント】
- 今後10年以内に、交換や修繕が必要になりそうな設備はありますか?
- 住宅ローンや家賃とは別に、修繕・住み替え用の予備費を確保できていますか?
よくある誤解・注意点
誤解①:住宅ローンを完済すれば住居費はかからない
住宅ローンを完済すると、毎月の返済負担はなくなります。
ただし、固定資産税、保険料、修繕費、マンションの管理費や修繕積立金などは残ります。
戸建てでもマンションでも、建物や設備を長く使うための費用は必要です。
「ローンは完済しているから住居費はゼロ」とせず、維持管理に必要なお金を老後の予算に見積りましょう。
誤解②:修繕は必要になってから考えればよい
修繕費は毎年同じようにかかるものではないため、必要になってから考えればよいと思うかもしれません。
しかし、設備の故障や雨漏りなどは、急に対応が必要になることがあります。
また、修繕を先送りすると、傷みが広がって却って工事費が増える可能性もあります。
すべての工事時期を正確に予測することは難しいですが、定期的に点検し、予備費を持っておくことが大切です。
※この記事では制度の細かい例外までは扱いません。
判断の軸をつかむことを目的としています。
まとめ
老後の居住費を見積もるときは、現在の住まいの築年数、設備の状態、過去の修繕履歴、今後必要になりそうな工事を確認してみましょう。
そのうえで、生活費とは別に住宅用の予備費を、
「毎月・毎年・不定期」の三つに分けて把握しておくと、急な修繕や住み替えにも対応しやすくなります。
👉次に読むQ&A: q068 住宅ローンは退職金で一括返済する?考え方は?
次の記事では、退職金と住宅ローンの一括返済の判断ポイントを整理します。
この記事を書いた人
FPとうか
1級FP技能士/社会保険労務士試験合格者。
50代シングル会社員向けに、老後資金・働き方・学び直しなど、
「これからの人生を整えるための情報」を発信しています。
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